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カナダ企業が約7億7千万円を調達し、ヘンプ「不織布」繊維を開発

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カナダの天然繊維専門企業である Bast Fibre Technologies Inc(BFTi)社は、先日調達した700万ドル(約7億7千万円)の一部を、欧州の製造拠点の開発に充て、不織布製品用の繊維の生産増強に注力すると発表しました。

 

今回の資金調達は、ビジネスとして軌道に乗り始めた成長事業への投資となるシリーズAと呼ばれるもので、米国ニューヨーク州拠点のプライベート・エクイティ(未公開株式)投資企業の Merida Capital Holdings社と、既存の投資家から出資を受けており、これによりBFTi社は、 天然繊維加工を知的財産としての研究開発段階から、完全な商業化に向けて事業を推進することが出来るとしています。

 

BFTi社のCEOである Noel Hall氏は、「今回の資金調達により、EUの製造拠点の構築を完了することができ、原料サプライチェーンへの投資を継続し、本格的な商業化への移行が可能になった」と述べています。

 

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天然繊維の需要が増加

Hall氏は、「当社の天然靭皮繊維を、加工生産ラインで使用している顧客が多数存在する為、市場の強い需要に対応するべく、12ヶ月前に行なった前回の資金調達以降も、生産力強化を目的とした投資が極めて重要だと判断しました」と述べています。

 

BFTi社は、知的財産保護を受けている技術を使用してヘンプやリネンなどの天然繊維を強化させた新素材を開発しており、昨年、エンジェル投資家である Natural Products Canada(NPC)社への株式売却により330万ドル(約3億6千万円)を調達し、ヘンプを原料とした生分解性で堆肥化するクリーニング用クロスの研究と生産を開始しました。

 

British Columbia州の Victoriaを拠点とする BFTi社は、ヨーロッパで調達した繊維から堆肥化する消毒用クロスを生産することを目的として、ハンガリーの施設で製造プロセスを開発していると言います。

 

Hall氏よれば、同社は最終的には、カナダとアメリカで靭皮繊維の原料となる植物の調達から一貫して行ない、北米の施設でもこれらの新型不織布を生産する予定だと述べました。

 

特別な性質を持つ靭皮繊維

ヘンプの部位の中で「特殊ファイバー」と呼ばれることも多い靭皮繊維は、アサ科植物の茎部の外側に生成される繊維質の部分を指します。この繊維部は、植物が成長している間、栄養分を運び、骨格として植物を支えるだけでなく、自然な吸水性濡れた際の強度とを兼ね備えています。

 

これは、クリーニング用クロス、おむつ、メイク落としパッド、病院のガウンやマスクなどに求められる特性であり、こうした不織布製品は世界で500億ドル(約5兆5千億円)の産業と言われています。

 

現在の不織布製品のほとんどは合成繊維または半合成繊維であるため、埋め立て廃棄の問題やマイクロプラスチック汚染の原因となっています。対照的に、靭皮繊維を使用した不織布は、プラスチックを使用せず再生可能な作物を原料としているため、堆肥化が可能で温室効果ガスの排出量を削減することができます。

 

ヘンプ繊維が使い捨て合成繊維の代替に

BFTi社の社長 Jim Posa氏は、「使い捨ての製品だけでも、毎年600万トン近くのプラスチック繊維が使用されています。不織布業界がこれまで合成素材に頼ってきた状況を改善する上で、私たちは重要な役割を果たすことが出来ます」と述べています。

 

BFTi社はプレスリリースで、「多くのグローバルメーカーが、2030年までに既存の製品からプラスチックを排除することを宣言するなど、プラスチック廃棄物に関する規制の改正が不織布業界に変革をもたらしている」と指摘しています。

 

また、人工のセルロース系繊維をプラスチックに分類するかどうかについて、現在も議論が続いており、それをきっかけに靭皮繊維への関心は更に高まっている、と同社は述べています。

 

BFTi社はこの先、Procter & Gamble(P&G)社やJohnson & Johnson社などの日用品を扱う世界的な消費財メーカーや、Walmart社や Costco社などの北米の一般消費者向け大手スーパーマーケットが、ヘンプ不織布製品の有力な販売先となる、と述べています。

 

 

HTJ

これまで私達の生活を便利にしてくれたプラスチックや合成繊維は、残念ながら土に還る事はなく、半永久的に自然界に残り続け、環境汚染の深刻な要因になっています。

しかしここでもヘンプが持つ特性によって、そのマイナスな側面を180度プラスに変えることが可能で、同時に経済を潤すことにも繋がるのであれば、日本の様な高い技術力と大きな市場を持つ国はむしろ積極的に取り入れるべきでしょう。

これからは自国での栽培や研究開発に力を入れるべき段階ではないでしょうか?

 

 

引用元;https://hemptoday.net/canadian-company-raises-7-million-will-develop-european-fiber-factory/

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AUTHORこの記事をかいた人

HTJ編集部ライター NORI

海と自然をこよなく愛するヘンプオタク。
ヘンプの素晴らしさを多くの人に知ってもらう為、HTJにライターとして参画。
不動産業界、福祉業界、オーガニック業界などでキャリアを積み、現在はフリーランスとして活動中。

健康への関心が高く、以前はヴィーガンで、現在はペスコベジタリアン。

趣味はサーフィン、WAVEウィンドサーフィン、スノーボードなどのExtremeスポーツと、海外ドラマの深夜イッキ見。

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