多国籍企業・Creso Pharma
オーストラリアに拠点を置くCreso Pharma社は、CBDをベースにした粉末インスタントティー製品をスイスで発売したと述べ、近くドイツにも進出する予定であると発表しました。
Creso社は、スイス市場に製品を投入するに当たって必要な法的および規制上の調査・分析を終えており、自社ブランドであるCannaQIXの販売促進に、「スイス全土の流通ネットワークを活用していく」と述べています。
その販売網は、調剤薬局、ドラッグストア、健康食品店、大手百貨店チェーンのManorを 含む大規模小売店グループなど、2,100以上の販売拠点で構成されています。またCreso 社は、Galexis社、Amedis社、Voigt社など、スイスの主要な卸売業者にも供給を行っていると語りました。
判決の結果、ドイツでも販売可能に
ドイツ連邦司法裁判所
今年、ドイツのブラウンシュヴァイクのヘンプティー販売業者のグループが、痲薬密売容疑で起訴されました。地方裁判所は、痲薬を扱ったとして被告に数ヶ月の禁固刑を言い渡しましたが、刑の執行を猶予し、保護観察処分としました。
しかし、3月24日にドイツ連邦司法裁判所は、ドイツの痲薬法の規定は、「消費目的での消費者への(麻の花と葉の)販売を禁止していない」として、先の地方裁判所の判決を無効とする判決をくだしました。
これによって、今回のCreso社のヘンプティーのような、ヘンプの花と葉をベースにした食品のドイツ市場での販売へ道が開きました。
この判決について、Hempro Int.社のマネージング・ディレクター兼 EIHA(欧州産業麻協会)会長のダニエル・クルーゼ氏は、
最終消費者への未加工の産業用大麻製品の供給と所持は、意図的な乱用の可能性が排除されている限り、痲薬法の対象にはなりません。これは、ヘンプの葉をお茶などの伝統的な食品の生産に使用し、懲役刑の危険を冒すことなく販売できることを意味します。
このセクターを妨げる不必要な官僚的なハードルを取り除くために、産業用大麻をドイツの痲薬法から完全に削除すべきです。
と、述べています。
拡大は加速
連邦裁判所が、ヘンプティー販売業者に対する訴追を無効とする判決を下したことで、「今後は、規制当局の承認を得ることなく、ドイツ国内でヘンプティー製品を積極的にプロモーションおよび販売することが可能になった」とCreso社は述べています。
当初は2020年下半期にドイツでの発売を予定していましたが、この訴訟によって計画が遅れたものの、結果的にはドイツ市場で、ヘンプ《 花穂と葉も含む 》を使用した食品販売の道が開ける形になりました。
Creso社によると、この新しいインスタントティーは、CBDの含有量を最適化し、味を改善する技術に基づいて開発されており、この技術は同社が計画しているcannaQIXブランドのトローチ錠の開発にも使用されると言います。
Creso社は、欧州でのさらなる事業拡大に向けて、他の欧州市場での法的状況を調査中である、と述べています。
先般の欧州連合裁判所の判決や、今回のドイツ連邦裁判所の判決など、EUの司法がヘンプを認めるケースが増えており、EU諸国では規制の見直しが進んでいます。北米においては、ご承知の通りです。
この世界の流れの中で、日本がガラパゴス化しない為にも、エビデンスを基にした公正な規制改正が行なわれる必要があります。