一昨年末から始まった、一連のカナダ大麻企業株の高騰は、彼らを巨大企業へと一気に押し上げましたが、彼らの一部は、調達した資金を設備投資やM&Aに回す一方で、実質的な売り上げが企業の時価に見合ってないまま、市場の期待だけで株価が支えられている状態が続いてきました。
そんななか、Canopy Growth社と並び世界最大の大麻企業であるAurora Cannabis社の経営に、陰りが見えてきたかもしれません。
バンク・オブ・アメリカが格付けを下げる
オーロラ・カナビス社による、業界をリードする規模のビジネスを構築し、利益率を高めるため取り組みは評価に値しますが、同社の株価は、木曜日の朝6.92ドルで6.6%以上下落し、バンク・オブ・アメリカは、オーロラの米国上場株式の評価を「買い」から「中立」に引き下げ、目標株価を10ドルから8ドルに引き下げました。
バンク・オブ・アメリカは、同社が懸念すべきペースで急速にキャッシュを使い切ろうとしていると考えています。
現在、オーロラのキャッシュ・ポジション(投資資本に対する手元にある現金の割合)は、同業他社に比べて低いため、2020年第1四半期にはマイナスに転じる軌道に乗っています。
迫る、転換社債の期限
オーロラは、来年1月にCA$13.05の価格で2億3,000万ドル(約190億円)の大きな転換社債(償還日まで保有すると額面金額が保証されている)に直面しており、格付けの下がった今、株価が上がらない場合は、現金で決済する必要があるかもしれません。
オーロラの現金流出は、カナダ、デンマーク、ポルトガルにまたがる約135万平方フィートの新工場からなる4つの生産施設への投資が原因です。
現在の推計によれば、オーロラは1-3月期のキャッシュ7,000万カナダドル(約57億円)を保有していますが、アウト・オブ・ザ・マネーの状態では、誰も社債を株式に転換したがらないため、キャッシュポジションを赤字にすることになります。
しかし、最終的には、オーロラの大麻業界における「世界最大」という地位が、必要な資金を確保するのに役立つとみられ、これは、支払能力に対する懸念が、市場から正当に評価され難いことを意味します。
CBDに焦点を当てている新興企業などの「未開拓の成長機会」に向けての資本調達と比較して、オーロラのように防衛的な立場から新たな資本を求めることは、経営の観点から見ても理想的ではありません。