米国大手Acreage Holdings(CSE: ACGR.U) (OTC: ACRGF) (FSE: 0ZV) は近頃、世界最大の大麻企業Canopy Growth(TSX: WEED) (NYSE: CGC) との提携を発表し、有力紙の見出しを飾っています。
Acreageの創業者であり、会長兼CEOである Kevin Murphy氏は、ニューカンナビス・ベンチャーズに対し、同社が東海岸で静かなスタートを切った当時から、大麻業界で圧倒的なグローバル企業になるまでの道のりについて語りました。
Murphy氏は、資産運用の経歴出身で、Acreage以前には、大麻の経験は殆どありませんでした。彼が、この新しい産業に投資する機会を確信したのは、大麻草の薬理的価値について学んだ後でした。
2011年、Murphy氏はメイン州に初めて投資を行い、ミシシッピ川の東に進出した最初の大麻起業家の1人となりました。彼のチームは、州内の8つのライセンスのうち4つを獲得し、東海岸沿いに着実にポートフォリオを構築しました。
もちろん、今日では、Acreageの足跡はミシシッピ川を超えて、いまだ成長しています。
強力な経営陣と取締役会のリーダーシップ
同社の経営陣と取締役会に優秀な人材を引きつける能力は、同社の成功の重要な要因です。
Murphy氏だけがウォール街の元幹部としてチームに加わったわけではありません。たとえば、Tyson MacDonald氏は、自らの財務経験を活かしてAcreageのM&A部門を率いています。
また、同社の経営陣は、消費者向けパッケージ商品分野でトップのリーダーシップを持つメンバーを擁しています。
Acreageの取締役会は、政治・ビジネスにおいて、John Boehner前衆議院議長、元マサチューセッツ州知事、William Weld大統領候補、Brian Mulroney元カナダ首相、Larissa Herda元TWテレコム会長、元ブルー・クロス・ブルー・シールド会長のWilliam Van Faasen氏、元IBM CFO のDoug Maine氏など、非常に有名な人物を揃えています。
これらの著名人たちは、Acreageに多大な信頼性とコネクションを与えています。
投資戦略と米国での歩み
現在、同社は20の州で事業を展開しており、オーガニックな成長と買収の両方を通じて、さらなる拡大を模索しています。Murphy氏によると、現在、同社は7つのLOIを進めているといいます。
同社は今年初め、大規模な買収を通じてネバダ州とフロリダ州の2つの重要な新市場に参入しました。Murphy氏によると、ネバダ州は、同社が常に参入しようとしていた市場であり、買収先のディープ・ルーツ社の経営者によれば、同州市場がAcreageに適していることがわかったといいます。
この買収により、Acreageは7店舗の大麻薬局を開設し、州内での栽培および加工事業を可能にしました。Acreageは、ラスベガス地区の北側と市の外側の両地域を市場とすると見られます。
Acreageは、他の多くの事業者に比較してフロリダ市場に後発として参入しましたが、Murphy氏は、むしろこれを有利だと考えています。同社は、湿度の問題など先行業者の失敗から学び、屋内栽培に注力する予定です。Acreageはまた、高級花穂の販売だけでなく、屋外のハウス栽培市場にも進出する予定です。
Form Factoryの買収
昨年末、AcreageはForm Factoryの買収を発表し、同社を全国的な製造・流通プラットフォームの構築に向けた位置付けとしました。
Murphy氏によると、Form Factoryは栽培、抽出、および流通能力を有しており、フォーム・ファクトリーはAcreageに「これら全てを結びつけるための接着剤」を提供しているといいます。
この契約によりAcreageは、共同パッケージ、流通チャネル、および製品イノベーションにおけるForm Factoryの、これまでの経験を手に入れました。
キャノピー・グロースとの提携
キャノピー・グロース社がAcreage社を買収したと報じられたニュースは数多くありましたが、買収条件は報道ほど単純ではありません。むしろ、この取引により、キャノピーは、連邦政府から認められている場合には、Acreage株を100%取得することが可能になります。
買収条件によると、3億ドルのオプション・プレミアム(1株当たり2.55ドル)は、買収のインセンティブとして、Acreageの株主に支払われます。
この取引により、キャノピーは将来、キャノピー株0.5818株をacreage株1株と交換することができます。この比率こそが、多くの報道の見出しで用いられた34億ドルの買収価格の推察に用いられたものです。
Murphy氏によると、買収の一環として、Acreageには5800万株が追加で付与されており、同社はこの資金を、さらなる買収に充てることができるといいます。
Murphy氏によると、飲料大手メーカーであるコンステレーション・ブランズ(NYSE: STZ) がキャノピーに投資したことで、Acreageはさらに恩恵を受けたといいます。
Acreageは、Canopyの(ひいては、コロナビール等を擁するコンステレーション・ブランズの)知的財産とブランドとしての知識を活用するために、ライセンス契約を締結することが可能となります。
買収のスケジュールは、連邦政府の合法性ではなく、連邦政府の許可を条件としています。
STATE Act(州法による大麻合法化を連邦法で認める法案)が、この取引にとって青信号となるかもしれないし、それは、SAFE Banking法(大麻産業に金融サービスを提供した金融機関を罰しないようにする法案)かもしれません。どのような誘因であろうと、Murphy氏は、それは数年ではなく、12~18カ月であると考えています。
キャノピーとAcreageの組み合わせは、カナダと米国の最大の大麻企業同士の強力な合併を約束するもので、これは世界規模の連合を意味します。Murphy氏によると、将来の合併の最終的な完了時期はまだ不明ですが、この発表自体が、すでにAcreageにとっては追い風となっているといいます。
Acreageは現在、この機会に興味を持った、より多くの組織からのインバウンドM&Aのオファーを受けています。
チャンスをつかむ
Murphy氏によると、Acreageは過去8年間で最高の財務状態にあるといいます。昨年、同社は5億ドル近くを調達し、現在のバランスシートには多額のキャッシュが入っています。これに5800万株の追加株式が加わり、同社は十分な資金調達を行っています。
数字だけでなく、Acreageはブランド認知の構築に焦点を当てています。
同社のBotanist Brandは、医療用と成人使用のコンセプトを融合させたもので、消費者にとって一貫した質の高い消費体験を生み出すようにデザインされています。
教育もBotanist Brandに大きな役割を果たしており、州が義務づけているかどうかにかかわらず、同社が運営する全ての大麻薬局に薬剤師がいます。
さらにAcreageは、一連の自社ブランドをデビューしようとしているといいます。Murphy氏によると、Acreageは素晴らしい事業を築いており、同社がCanopy買収に迅速に対応できないのではないかとの疑問もあるといいます。
しかしMurphy氏にとって、機会を前進させる決断は単純でした。
「キャノピーと、さらにコンステレーションが我々のドアをノックした時、その機会をとらえて一緒に走るのは、上級役員としての私の役目でした」と彼は語りました。