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EUが認めた“麻の再生力”ウクライナで芽吹くグリーンテック革命

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ヘンプ企業2社がグリーンテック革新助成金を獲得

ウクライナのヘンプ関連プロジェクト2件が、EUのグリーン技術支援プログラム「Climate Innovation Vouchers(気候イノベーション・バウチャー)」の助成対象に選ばれた。

対象となったのは、Ma’Ryzhany Hemp Company と Ukrainian Hemp(First Hemp Corporation) の2社。

最終ラウンドでは、合計€384,241(約6,000万円)がウクライナ国内の11企業に授与された。

個別金額は非公開だが、最大で5万ドルまで支援が受けられる。

この助成金は、環境負荷の少ない技術開発を行う企業に対し、認証・知的財産保護・エンジニアリング・製造準備などのサービス費用の最大75%をカバーするものだ。

受賞企業とプロジェクト内容

Ma’Ryzhany Hemp Company は、ウクライナ北部ジトーミル州における大規模なヘンプ栽培・加工拠点を開発中。同社は繊維業界向けの長繊維、断熱材や紙などに使われる短繊維を生産している。

この施設は旧フラックス工場跡地に建設され、これまでに約2,500万ドルが投じられている。最終的には1億ドル規模の投資と700名規模の雇用創出を目指しており、EUとの穀物流通の混乱を背景に「穀物依存からの転換作物」としてヘンプを提案している。

技術革新と近代化の推進

Ukrainian Hemp(First Hemp Corporation) はチェルカースィ州を拠点とし、繊維・建築・工業向けの高度なヘンプ加工技術の導入を推進。ロシア侵攻から1年以上を経て、新たなデコルティケーション施設(繊維剥離工場)を稼働させ、高身長ヘンプ品種向けの二段式ハーベスターを開発するなど、ウクライナのヘンプ産業の再構築を進めている。

また、助成対象にはCarbonex Ukraine も含まれ、カーボンクレジット創出支援(監査・排出削減計算・国際基準認証)を行う農業プロジェクトとして注目を集めている。

プログラム概要

このClimate Innovation Voucher は、新興クリーンテック企業が事業化へ進むための「最後の壁」を越える支援を目的としており、特許・認証・工業デザインなどへの資金支援を提供。同制度は、欧州復興開発銀行(EBRD) の FINTECCプログラム の一環として、EUの「EU4CLIMATE」イニシアティブにより支援されている。

ウクライナ国内では2017年より、環境系NPO「Greencubator」が実施を担い、

クリーンテック企業の資金調達・専門知識・国際市場アクセスを支援している。

FINTECCは民間セクターへの気候技術導入を加速することを目的としており、

EU4CLIMATEは気候政策の進展と低炭素社会の構築を支援している。

戦時下でも進む革新

この8年間でウクライナの50社以上が総額約200万ユーロの支援を受けてきた。

2025年授与分は第2フェーズの最終ラウンドであり、授与式はキーウで開催。

政府・産業界・欧州パートナーが参加し、「戦時下でも欧州の気候未来を形づくるウクライナ企業」として注目を集めた。

紛争の影響にもかかわらず、ウクライナのヘンプ産業は前進を続けており、

栽培面積は2023年の1,500ヘクタールから2024年には2,000ヘクタールへ拡大している。

編集部あとがき

今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。

1.EUがウクライナのヘンプ産業を後押し

欧州連合が支援する「気候イノベーション・バウチャー」により、ウクライナの2社が助成金を獲得。環境対応型技術としてのヘンプが、国際的に評価を受けた。

2.戦時下でも続く産業再生

ロシア侵攻後も、Ma’RyzhanyとUkrainian Hempは新施設を建設し、最新の加工技術や機械を導入。復興と脱穀物依存の象徴としてヘンプが位置づけられている。

3.グリーンテック連携の広がり

ヘンプ企業だけでなく、カーボンクレジット農業や再エネ関連企業も助成対象に。ウクライナ発の“気候革新”ネットワークが形成されつつある。

4.欧州復興銀行とEU4CLIMATEの連携支援

EBRDとEUが共同で進めるFINTECCプログラムが、企業の技術特許・認証・商業化を支援。戦時下でもウクライナが「グリーン経済圏の要」として浮上している。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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