大麻でGX(グリーントランスフォーメーション)宣言した三重県明和町
三重県明和町では、2023年3月に「大麻でGX(グリーントランスフォーメーション)」宣言を行い、産官学連携の天津菅麻(あまつすがそ)プロジェクトを推進しています。同プロジェクトに参画し、三重県知事交付の大麻取扱者免許を持ち、町内でヘンプを栽培する事業者が3社います。
ヘンプは、国連貿易開発会議の報告書(https://www.hokkaido-hemp.net/UNCTADhemp.pdf)によると、下記のように、CO2吸収という意味で他のどの作物よりも、さらに樹木よりも効率的であると報告されています。
Vosper(2011)によると、ヘンプ1トンあたり約1.65トンのCO2を吸収できると試算しています。⼟地利⽤ベースでは、平均収量を5.5~8トン/haと仮定すると、1ヘクタールあたり9~13トンのCO2吸収量に相当します。これに対し、森林は⽣育開始から20年間の間の1年間で、4.5トン/ha(北⽅地域の針葉樹林)~40.7トン/ha(湿潤地帯のユーカリ林)のCO2を吸収することが⼀般的です。
ヘンプは、肥料や農薬の投入が少なく、食品、化粧品、衣服、建材、製紙、複合素材、敷料、肥料、飼料、燃料、漢方や医薬品まで多用途に活用できる農作物として注目されています。
また、国の方では、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた経済成長と脱炭素化を両立することを目的とした「GX推進法」が2023年6月に施行されました。正式名称は「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」です。
この動きに対応すべく、明和町内で大麻栽培事業を行うヘンプイノベーション株式会社は、24年2月から脱炭素社会を目指す日本の有数の企業グループ「GXリーグhttps://gx-league.go.jp/」の農業林業分野で参加しています。
農林水産省が推進するバイオ炭とは
バイオ炭(Biochar, バイオチャー)は、簡単にいえば、バイオマスから作られた炭のことであり、「燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物」と定義されています。
写真:無煙炭化器で大麻草の茎を入れて、バイオ炭を作っている様子です。
一般的にバイオ炭の施肥には、土壌改良効果があり、土壌の透水性、保水性、通気性の改善、酸性土壌をアルカリ性に変える働きがあります。さらに、バイオ炭の農地施肥は、温室効果ガス削減のための手段として注目されており、難分解性の炭素を土壌に貯留します。その貯留炭素は、J-クレジットとして販売や取引ができるようになります。
ざっくりとした計算ですが、麻茎1トンに付きバイオ炭農地施用0.3098トン(309.8kg)の炭素貯留量があります。
麻茎1トンのバイオ炭農地施肥の炭素貯留量=1トン(麻茎)×0.2(炭化収率)×0.65(草木炭素含有率)×0.65(100年後の炭素残存率)×44/12(※)
(※)44(CO2の分子量)÷12(Cの原子量)=3.67(CO2換算値)
J-クレジッットの登録は、費用対効果を考慮し、バイオ炭でJ-クレジット第一号となった一般社団法人日本クルベジ協会/立命館大学日本バイオ炭研究センターの小規模農家向けの仕組みを利用することを予定しています。
参考:農林水産省「バイオ炭の農地施用をめぐる事情」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/attach/pdf/biochar-1.pdf
12月22日(日)と1月11日(土)GXバイオ炭ワークショップ参加者募集
ヘンプイノベーション株式会社では、三重県より大麻草栽培者免許を受け、三重県明和町のGX(脱炭素化)推進「大麻でGX宣言」の一環として、農業残渣を特殊な器具により炭化させ二酸化炭素を固定したバイオ炭を焼成・農地施用し、地中にCO2を貯留することで二酸化炭素排出量の削減を実現する実証実験を行っています。
写真:無煙炭化器でつくったヘンプバイオ炭
令和6年年度に実証栽培が行われた圃場の麻幹からバイオ炭を焼成し、目で見て触れてわかる日本初「大麻でGX」を体験しませんか!というイベントを企画しています。
参加方法は下記のPeatix(ピーティックス)から受け付けています。
この機会に、全国に先駆けて様々なことにチャレンジする三重県明和町に行ってみましょう。
第1回 GX体験ワークショップ 麻のバイオ炭作り
24年12月22日(日)11時~16時
第2回 GX体験ワークショップ 麻のバイオ炭作り
25年1月11日(土)11時~16時
他の関連イベント
天津菅麻(あまつすがそ)プロジェクト
12月14日(土)【麻糸産み後継者養成講座(初級・中級)、麻糸績みサークル】
14日15日(日)【王朝ロマンの明和ツアー&斎宮における麻糸作り体験】