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州政府助成金の17%(約10億円)を獲得、カナダの循環型経済チャレンジの根幹にヘンプが

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1,000万カナダドル(約10億円)の助成金を獲得

カナダのヘンプの複合材メーカー、インカ・リニューアル・テック社(以下、インカ社)が、自動車、海洋、風力エネルギー、消費者製品産業向けの製品を生産する製造施設の開発を支援する1,000万カナダドル(約10億円)の助成金を獲得しました。

インカ社:https://incarenewtech.com/

アルバータ州ケロウナにあるインカ社は、穀物用に栽培されたヘンプの茎を加工し、バイオコンポジットの芯材に変えている。インカ社はすでに、ラミネート材料メーカーのGenesis Products社(インディアナ州エルクハート)との提携により、Winnebago Industries社(アイオワ州フォレストシティ)にRVやトラックトレーラーに使用されるパネルを供給しています。

また、複合材料メーカーのGurit(スイス・ワットウィル、ロードアイランド州ブリストル)、北米トヨタ(テキサス州プラノ)とも商業化の提携をしており、カナダや米国のポリマーメーカーとも共同開発の最終合意をしているとのことである。

政府循環経済チャレンジ基金の17%の助成金を獲得

「今回の資金調達により、インカ社は、最先端のヘンプ加工・複合材製造工場の建設を大幅に加速することができます」と、会長兼CEOであるDavid Saltman氏は述べました。

インカ社への助成金は、Emissions Reduction Alberta (ERA)からのもので、Circular Economy Challengeの一環として、州政府が設立した総額5,800万カナダドル(約58億円)の基金です。

ERAは、革新的なクリーン技術ソリューションの開発と採用を加速することを目的に、大規模排出事業者が支払う炭素料金からの収益を投資にまわしてます。

Emissions Reduction Alberta (ERA):アルバータ州の環境および経済目標を達成するために2009年に設立。温室効果ガス削減、コスト削減、投資誘致、アルバータ州での雇用創出につながるクリーン技術ソリューションの試験、実証、展開に投資することで、気候変動への対策と経済成長を支援。

Circular Economy Challenge(循環経済チャレンジ):ERAのプロジェクト。農業用プラスチックリサイクル構想、天然ガスビジョン、それらを拡大していくことや、戦略の軸でもあるアルバータ州をプラスチック転換とリサイクルの中心地を目標にするなど州政府とも合致している。

アルバータ州Vegrevilleに建設される約20万平方フィート(約2ヘクタール、200m×200mの規模)のインカ社の工場では、希少なバルサ材の代わりに、ボート、風力タービンブレード、自動車部品、鉄道産業用部品に使用される精製短繊維および長繊維が製造されます。

18エーカー(約7.2ヘクタール)の工業用地に建設されるこの工場への総投資額は、7,200万カナダドル(約71億円)と見積もられています。

年間5万4千トンのヘンプを購入、270人の雇用、51億円の納税を目指す

インカ社は昨年、農業省から40万カナダドル(約4,000万円)の助成金を受けており、これも新施設を支援するためのものです。

州政府が所有するヘンプ複合材料、ゲノム、農学の研究施設「InnoTech Alberta」に隣接して建設されるインカ社の複合施設は、2024年初頭に稼働する予定です。

InnoTech Alberta:https://innotechalberta.ca/about/

同社によると、稼働時にはアルバータ州のヘンプ栽培農家から年間5万4,000トンを購入する予定です。

インカ社は今後10年間で、4,300万カナダドル(約42億円)以上のヘンプバイオマスを購入し、270人を雇用し、州税と連邦税で5,100万カナダドル(約51億円)を納めることができると試算しています。

100万世帯の二酸化炭素排出量を削減させ、1,835人の雇用を創出

Circular Economy Challenge(循環経済チャレンジ、政州府の助成金プロジェクト)から資金を得たプロジェクトは、ヘンプ以外にも廃棄物の削減、材料や原料の代替、新しいプラスチックのリサイクル、価値の回収を支援するほか、高品質の肥料の生産、屋根板からのアスファルトのリサイクル、コンクリートの炭素固定化なども行っています。

ERAによると、これらのプロジェクトが成功すれば、2050年までに最大400万トンの温室効果ガスを削減することができ、これは100万世帯の二酸化炭素排出量を相殺することに相当するとのことです。また、2025年までにアルバータ州で年間1,835人の雇用が創出され、3億5,000万カナダドルのGDP効果が見込まれるとのことです。

プロジェクトは、科学、工学、事業開発、商業化、資金調達、温室効果ガスの定量化などの専門家チームが指導する競争的審査によって選ばれました。ERAの資金提供者はすべて、CO2削減、雇用創出、その他の環境・経済・社会的影響を示す公開報告書を作成する必要があります。

HTJ
先日の国会では、日本でも大きな前進がありました。国の大切な予算をどこに使うのか!?世界的な確たるテーマとしては「環境」です。そこにヘンプです。こちらのカナダのプロジェクト、この先の日本でも大いに参考になる予算組みかと思います。北米トヨタは、インカ社とも提携していることから車の部品などで取引されます。このプロジェクトによって、二酸化炭素削減においては、100万世帯の規模の削減をこの助成金から果たすという目標がなされてます。1,835人の雇用GDP効果も340億円。これらが「(たったの)助成金10億円で」描くことができ、一層スピーディーに動き出せるというお話しです。ヘンプがプロジェクトの根幹にある以上、具体性が高く、さらには、進めていくほどに環境改善も結果を出しながら進められることは間違いないでしょう。よりクリーンでグリーンな地球へ。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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