争点となった Kombinat Konopny 社の製品
裁判所が当局の判断を覆す画期的な判断
ポーランドの最高行政裁判所は、同国の保健当局に対し、ヘンプの花や葉を原料とする未加工製品の合法性を認める判決を下しました。
最高行政裁判所は、ヘンプ企業 Kombinat Konopny 社が2019年に発売した、ヘンプの花穂を粉砕したものをカプセルに詰めた製品に関して、ポーランドの衛生検査局(GIS)が販売停止を命じた事は誤りであるとの判断を示しました。
Kombinat Konopny 社の Maciej Kowalski CEOは、「今回下された判決は、裁判所が当局の見解を闇雲に踏襲するのではなく、真っ当に事実に基づいて下された、ポーランドでの、いやヨーロッパで初めてのケースです。法律を意図的に悪用し、隠蔽し、虚偽の説明をした当局者は、これから個人的な責任を問われることになるでしょう。」と述べました。
欠陥のある解釈
Kombinat Konopny 社の Maciej Kowalski CEO
裁判所は、CBDなどのヘンプの花由来の抽出物が、EUの食品安全規則に該当することを認めながらも、生(未加工)の状態の花穂に関して、保健当局であるGISによる規則への解釈に欠陥があるとし、同社に対する制裁に重大な手続き上の誤りがあることを指摘しました。
2019年に「Zioła na Dobry Nastrój」(「良いムードのためのハーブ」)という製品を市場から撤去するよう命じられ、同社は、違反に問われた大半の企業が行う当局の裁定に対する一般的な防衛ではなく、その代わりに、直ちにGISに対して法廷に申し立てをしました。
ワルシャワの地方行政裁判所による最初の判決は、同社の訴えを退けたものの、同社の控訴により、最終的には高等裁判所がGISに対して30ページに及ぶ詳細な判決を下しました。
エビデンスの無視
EUにおいて「1997年5月15日以前にEUで消費された記録がない食品」を市場に出すには、その年に制定された「新規食品」に関する規制のもと、厳しい規則と過酷な食品安全テストが課されます。
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裁判所は、「(保健当局のGISは)まず新規食品規則の規定を誤って解釈し、申請者が提出した証拠書類や当局が作成し職権で知り得た証拠を無視し、不完全で最小限の証拠手続きを行った」と判決文に記しています。
裁判所は判決において、1997年の規則について「麻の実の部分を含む食品は、新規食品に関する規制の対象外であると決定された」と述べています。
コワルスキー氏の妻であり、事業のパートナーでもある食品化学の専門家でもある Beata Plutowska は、裁判の論証として、1997年以前にヨーロッパでヘンプの花が食品として使用されていたという歴史的な資料を集めました。
「当該訴訟の枠内で当事者が提出した疑いようのない証拠は、ヘンプのハーブが食品として、また通常の食事の補助として消費されてきた歴史を示していた」と最高裁判所は認定しています。
行政手続き違反
裁判所は、保健当局が新規食品規則に違反していることに加え、「不完全な証拠手続きと収集した証拠の評価を行ったこと」、および「諮問機関の不適切な意見を採用したこと–結果として、カンナビス・サティバ・エルのハーブの粉末は新規食品であるという判断を下したこと」によって行政手続きに違反していると認定しました。
他のEU諸国のヘンプ関係者も、ヘンプの花穂をめぐって同様の問題に直面していることから、ポーランドの今回のケースは、ある種の画期的な出来事と言えるかもしれません。
例えば、ドイツの連邦裁判所は2021年、ブラウンシュヴァイクのヘンプ茶販売業者グループに対する「痲薬密輸」に関する起訴を無効とし、ドイツ市場でのヘンプの花と葉を原料とする食品を販売する道を開きました。
また、リトアニアでは2021年に、ヘンプの花を栽培し、国内市場で販売することを可能にする法律を制定ました。新法制定以前は、リトアニアの農家はヘンプの花を栽培して輸出することはできましたが、国内での販売が合法なのは種子と藁だけでした。