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インタビュー:大麻産業専門弁護士に訊く

CBD業界は「道路の凸凹に気をつけろ」

ボブ・ホーバン氏は、米国コロラド州のホーバン・ロー・グループ(HLG)の創設者かつマネージング・パートナーです。同社は国際取引および公共政策を専門とした、大麻産業に関する法律及びビジネスアドバイザリーとして世界をリードしています。ホーバン氏は、2009年からデンバー大学で産業用大麻およびマリファナの公共政策を扱うコースで教鞭を執っています。

ヘンプトゥデイ(以下HT): CBDのバリューチェーンを厳密に見た時、全面的な開発に最も支持的なのは、どこの法律であるといえますか?

ボブ・ホーバン氏(以下BH): ラテンアメリカ市場では、カンナビノイド抽出物が人気です。さらに重要なのは、ラテンアメリカの政府の多くが、天然のウェルネス製品としての大麻の栽培、加工、および使用を支持していることです。ラテンアメリカ市場はまた、そのような製品や材料の輸出入を視野に入れており、普及が加速している大麻経済へのチャンスを積極的に生み出しています。

EUはCBD生産者になるには少し出遅れましたが、カンナビノイドを豊富に含む製品の多くがFDAと同等の基準で評価され承認されており、域内市場を大きく押し上げています。全体として現時点では、ラテンアメリカが最も広範な機会を提供していると感じています。その分野における様々な国営の医療制度の規模や政府の支援を考慮すればなおさらです。

HT: 米国ではいつ頃になればCBDに対する完全な明確化が期待できますか?5年後、10年後になるのでしょうか?今後1〜2年以内にCBDに対する連邦政府機関の扱いについて、どんな期待(あるいは恐れ)があるでしょうか?

BH: 残念ながら、米国拠点のカンナビノイド抽出市場には明確化が進む以前に、横槍が入っています。しかし幸いなことに、CBD(およびその他の天然に存在するカンナビノイド)が違法であり、規制対象の物質そのものであるという根拠のない主張から、それらの製品がどのように規制されるのかという議論へと変わり始めています。

米国農務省(USDA)および米国食品医薬品局(FDA)は、積極的な姿勢を見せ、麻薬取締局 (DEA) からこの問題を取り上げる必要があります。DEA側は、(米国)農業法案のヘンプならびに植物原料ベースの抽出物、およびその派生物に関して管轄権を有していないことをあっさりと認めています。この過程は非常に遅いもので、数年ほどかかると思われます。

我々は、人による消費を目的とした、カンナビノイドに富んだ大麻ベースの植物材料を管理するアメリカ初の規制政策(コロラド州)の仲介に成功し、このことは多くの州および連邦政府から大きな注目を集めています。これは大きな第一歩です。最終的には、病気や健康に有益な植物原料由来の医薬品や栄養補助食品のような、FDA承認の大麻ベースの医薬品と共に、天然素材のカンナビノイド抽出製品が並んでいることでしょう。

HT: ヘンプに関しては、米国では珍しい超党派の支持があるようですが、マリファナに関してはどうですか?司法長官が薬物とマリファナに纏わる戦争を復活させた場合、ヘンプも巻き込まれるのでしょうか? CBDはこの点において特に脆弱であるように思われます。

BH: 我々の多くは、産業用大麻とマリファナが同じ植物種、カンナビス・サティバに属することを知っています。理想の世界では、大麻はその様々な用途に応じて合法化され、規制されることになるでしょう。実際、トランプ政権の当初、私はトランプ政権関係者と対話し、「メイク・アメリカ・ヘンプ・アゲイン」と呼ばれる大麻改革政策について話し合いました。この方針は植物全体を規制するという概念を反映しており、当時は好評でした。いずれにしてもヘンプに関連しているので、大麻プログラムを作成した各州は広範な公共政策の理由を持って実施しています。例えば、ケンタッキー州とニューヨーク州のヘンプ法制定に向けた公共政策基盤は、コロラド州やカリフォルニア州とは大きく異なっています。

また、ヘンプを合法化した多くの州では、商業的に規制されているマリファナ(医療用または成人用)市場も存在するため、二重に複雑です。言うまでもなく、これは議会で奇妙な「呉越同舟」状態を生み出します。それは、ジェフ・セッションズ司法長官(真の産業用途のヘンプ合法化さえ考慮しない人物)を除いて、産業用大麻は共和党員による支援が得られようとしている問題です。私はそれが変わるとは思っていません。しかし、これらの連邦政策立案者が、カンナビノイド抽出物に対してどのように、どの程度規制管理を行うのかについて心配しています。それが毎晩私を悩ませる問題です。FDAは制限的な姿勢をとるでしょうか、あるいは積極的な姿勢をとるでしょうか?端的に言えば、産業用大麻は安全です。しかし、今後CBD業界は「険しい道のりに気をつけろ」でしょう。

HT: ポーランドは最近、患者への医療用マリファナの提供に関する法律を可決しましたが、ポーランドではMMJ (医療大麻) の栽培および生産は違法です。これは次なるステップとして当然のものですか?

BH: 我々は、北欧において医療大麻を許可する動向と同時に、国内での栽培を制限または禁止する動向を確認しています。これらの国々は 「グレー」または 「ブラック」な市場の増加に対処したくないという理由からであり、妥当であると言えます。これにより、増大するグローバルな大麻経済の勢いを加速させているようです。言い換えれば、我々は大きな影響力を持つ高品質のマリファナの国際貿易を目の当たりにしている(そしてこれまでに数多くの取引を生み出している)のです。たった数年前までは幻想でした。しかし、これは今、現実となり、ますます参加国が増えている事を反映しています。我々の業界で最も興味深いことは、米国外で大麻ベースの経済が急速に拡大しているのを目の当たりにしているということです。これは理論上、米国が、既に古くなった大麻に関する法律を変更することを余儀なくしています。

HT: 世界中でのHLGの活動の拡大を考えれば、特定の地域、国、市場に入る前に考慮する要素は何ですか?

BH: 政府が先進的かつ支援的な姿勢を取る環境の中で、HLGが機能することが見込めるということです。それがヘンプであろうとマリファナであろうと関係ありません。支援的な姿勢を見せる政府は、専門的かつ十分な資金のある産業の発展を可能にするような、実行可能な規制を作り出しています。支援する政府も、人類に利益をもたらす科学的研究の機会を創出しています。これらは肯定的なものです。

我々はまた、国際的な顧客と同時に、HLGが間接的に生み出した世界最大の大麻ネットワークの有用性を認識している意欲的な弁護士を探しています。世界中の起業家や事業者に対するHLGの価値は、公共政策の業務はもちろん、あらゆる管轄区域で高水準の法的業務を果たすことができるという事実だけでなく、むしろ業界の専門知識、アドバイザリーサービス、一般的な大麻業界のカウンセリング/コンサルティングを通じて判断すべきです。

我々の見解では米国は、煩雑かつ混乱を招く、矛盾ある法律などのパッチワークによって、この植物への先駆的なアクセスを提供してきましたが、一方、まだ世界の他国ではアクセスが制限されているものの、政府によって強固に支援され、製品開発が行われています。これらはまもなく結び付き、世界の大麻経済が超巨大産業となるのを目撃するでしょう。このことをともに見据えている顧客、政府、進歩性のある弁護士は、HLGが提供するものを最大限に活用できる有力な候補者たちです。

HEMPTODAY 2017年10月20日

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AUTHORこの記事をかいた人

日本臨床カンナビノイド学会員。北海道ヘンプ協会(HIHA) 法人会員。

美容クリニックで専門医監修の下、CBDオイルを利用したアトピー性皮膚炎の治療を開始。1年間の観察結果からアレルギー数値と、症状の改善がきっかけで大麻の可能性を一人でも多くの方々に知ってもらいたいと思い立ち、編集局員として参加。

「HEMP TODAY JAPAN」を通じて、「世界の大麻産業」の真実を知ってもらう必要があると考えております。

そして、大麻へのマイナスイメージを払拭がされ、医療分野、産業分野問わず、大麻由来製品を誰でも簡単に低コストで利用できる環境を望んでいます。

2017年6月~青山エルクリニックモニター参加。
2018年5月「Hemp Food, Health & Beauty Summit」(HTセンター/ポーランド)。
2018年8月「中国 黒龍江省ヘンプ産業視察ツアー2018」参加。

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