欧州議会は、産業用大麻のTHC基準値を現在の0.2%から、世界で一般的な0.3%へと引き上げることに賛成票を投じました。
これは、欧州のヘンプ産業を世界的な競争力のあるものに成長させる上で重要なステップです。
この後、他の機関との交渉を経る必要がありますが、無事に立法化すれば、欧州は長年苦しめられてきたTHC0.2%基準という呪縛を解かれ、米国、中国、そしてカナダが牛耳っているヘンプ産業に、「もう一つの勢力」として頭角を現す事になるでしょう。
今後の交渉の根拠に
欧州産業用大麻協会(EIHA)によって長い間提唱されてきたこの提案は、本日議会で採択された共通農業政策(CAP)改革案に取り入れられました。
EIHAのダニエル・クルーゼ会長は、
ついにEUは、世界の産業用大麻セクターと平等な競争の場を再び手に入れるのです。
と述べ、この決定を歓迎しました。
この採択は、EUで法制化を進める上で必要な、欧州理事会および欧州委員会との三者会議における欧州議会の公式な意見として、その立場を明確にしました。
議会はまた、農産物の品質や、その生産とマーケティングの経済状況を改善することを目的として設定されているマーケティング基準適応製品のリストに、ヘンプを追加することにも投票をしました。
つまり、ヘンプを他の食品や農産物と同じ様に流通させるために、同一の規制枠に収めようという事です。
EIHAもこれまで、この変更を推し進めてきており、クルーゼ氏は「これもまた、勢いをつけて世界に追いつくチャンスを与えてくれるだろう」と語りました。
これらの規則には、技術的な定義、ラベル、包装、生産に使用される物質と方法、栽培の種類と場所、およびヘンプのバリューチェーンに関係する様々な規範が含まれています。
ヨーロッパのTHCの歴史
産業用大麻に関するヨーロッパ固有のTHC制限値は、1984年に初めて0.5%に設定されました。
その後、アメリカの植物科学者アーネスト・スモールとアーサー・クロンクイストが、ヘンプとマリファナとの間に0.3%という線引きを設けた事を受けた国際植物分類学会(IAPT)が基準を設定した事により、1970年代に0.3%へと削減されました。
その後、欧州連合は、産業用大麻の畑での違法なマリファナ栽培を防ぐことを目的とした誤った取り組みを行い、1999年にTHC許容量をさらに0.2%に引き締めました。
これまでもEIHAは、THC制限を0.3%に引き上げても、違法な大麻の生産に目立った影響はないとの主張を続けており、その根拠として、THC0.3%を含むヘンプには、THC0.2%を含むヘンプと比較しても安全上のリスクが無いことを証明した研究を繰り返し引用しています。
この0.2%制限が維持される中で、ヘンプの合法化が世界的に広がり、ほとんどの国がTHC基準0.3%を採用したため、ヨーロッパは益々不利になりました。
大麻草のCBD濃度は、THCに比例して上昇するため、THC0.2%の基準は特にCBD生産者にとって障壁となることが証明されています。
したがって、ヨーロッパの科学者や研究者には、現在世界で大きな需要がある高収量の種子品種や高CBD品種を開発するモチベーションがありません。
このような品種には麻薬となりうるレベルのTHCはありませんが、0.2%の制限は超えてしまう可能性があります。実際、数種の東ヨーロッパ原産の高収量のヘンプ種子品種は、0.2%のTHC制約の下での生産が不可能だった経緯があるのです。
引用元:https://hemptoday.net/european-parliament-signs-off-on-raising-eu-thc-limit-to-0-3/