今月ウィーンで開催された、世界保健機関(WHO)からの大麻に関するさまざまな勧告に対する取り組みについて話し合う場である、国連麻薬委員会(CND)の会議においてEUは沈黙し、CBDの規制に関して影響を与える2件のWHOからの勧告への自らの姿勢を表明することを避けましたが、対象的に、米国はこの問題について反対姿勢を明確にしました。
もし、この2つのCBDに関する勧告が承認された場合、
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1961年に締結された、麻薬に関する単一条約における「スケジュールI(麻薬分類)」から大麻の抽出物およびチンキ剤を削除する
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主にCBDと0.2%以下のデルタ-9-THCを含む医薬品を国際管理の対象外とする
ことになります。
2年前の第41回薬物依存専門家委員会で最初に発表されたWHOによる勧告は、食品や化粧品に含まれる天然の大麻抽出物を管理する規制とは無関係の問題で、これについてEU当局は頭を抱えています。
ここまで読んで「?」と不思議に思った方も居るのではないでしょうか?
一つ目の勧告は、読んで字の如く、歓迎すべき内容です。しかし二つ目の勧告はちょっと引っ掛け問題のようです。
ここに示されている「医薬品」とはつまり、エピディオレックスなどの事を指していると思われます。しかし、今となってはエピディオレックスよりも高濃度なCBDオイルも「食品」として流通しており、特別珍しくもありません。
では何故、いまさら「医薬品」としてのCBDについて言及する必要があるのでしょうか?
EUの状況は何を示すのか?
CND会議以前の、CBDに関する勧告に対するEUの見解は、7月に欧州委員会が発表した、「非医療用天然ヘンプ抽出物は麻薬と見なされるべき」という暫定的結論によって暗示されていたと言えるかもしれません。
ここで言うヘンプ抽出物を含有した製品は、現在もヘンプ食品、サプリメント、および化粧品などの形で膨大な量が市場に流通しており、ヘンプ産業関係者は、この暫定的結論が確定した場合、ヨーロッパのCBD企業に壊滅的な打撃を与える可能性があると述べています。
今回のCND会議は、12月2日に予定されている最終投票に先立ち、国連加盟国がWHOの勧告について話し合う最後の機会でした。
情報筋はHempTodayに対し、
「EU代表は先週の公開セッション中に、WHOの勧告に対して、EUがどちらに投票するかについて発言を控えましたが、非公開セッションでのEU代表は、完全な『ノー』に投票することに消極的であり、さらなる科学的レビューを要求して勧告をWHOに送り返す事を提案するかもしれない」
と述べました。
- 暫定的結論が示すように、ヨーロッパは独自に、食品や化粧品に含まれるCBDを麻薬として規制したがっている。
- WHOの勧告は、「医薬品としてのCBD」を規制の対象外とする事を提案しており、食品や化粧品ではない。
そして、上記のようにEUが「イエス」に投票したがっているという事は、つまりEU当局はCBD製剤の流通を支持し、同時にサプリメント等としてのCBDに対する規制を強化したいという意思の現れと捉える事が出来るかと思います。
全くもってガッカリな事です。EUは、製薬企業の利益を優先し、CBD産業を犠牲にするつもりでしょうか?
ところが、対するアメリカの姿勢は真逆です。
アメリカは反対を表明
EUはその立場に言及を避けましたが、米国はCBDを(結果的に)医薬品と見なす変更を支持しないと述べました。
米国の代表者は、国際的な薬物管理からCBD医薬品を除外するというWHOの提案は、「効果的な薬物管理を損なう法的な曖昧さと矛盾をもたらす可能性がある」と述べ、代わりに、そもそも医療用CBDは条約で麻薬として分類されていないため、薬物規制の対象ではないことを再確認し、産業用大麻製品に含有するCBDも同様に免除されることを強調しました。
米国には、WHOが推奨する変更に反対を表明している他の多くの国が足並みを揃えています。
驚きですが、この記事のタイトルから受ける印象とは、180度真逆の内容ではないでしょうか?
アメリカは、CBD製品の自由な流通を歓迎しているようです。
抽出物、チンキ剤の除外を支持
麻薬問題に関する国際機関の動向を追跡しているCNDモニターによると、EUとスイスは、コロンビア、エクアドル、ジャマイカ、メキシコ、ペルーと共に、1961年に制定された麻薬に関する単一条約の麻薬指定(スケジュールI)から大麻抽出物とチンキ剤を削除するという勧告の支持を主導しました。また、オーストラリア、フランス、米国、南アフリカ、スイスもその勧告を支持すると報告されています。
これまでのところ、南アフリカとスイスだけが、THC0.2%以下のCBD製剤を国際的な管理から除外するという勧告を支持しています。
度重なる延期、ついに投票の時
どちらも国際的な麻薬規則の変更に反対しているロシアとナイジェリアが主導する15の投票国は、CBD規制に影響を与える二つの提案のいずれも支持しないことを示しています。これにより、EUの投票ブロックのように、まだ自分の立場を示していないか、他の国とのコンセンサスを求めている約30か国が残ります。
投票結果に関係なく、先週のCND会議で演説した数カ国の代表は、「延期が繰り返されてきたが、最終的に大麻問題に取り組む時が来た」と述べました。
この時の、メキシコ代表による「これらの勧告において大麻はメッセンジャーではない。大麻はメッセージです」との発言に象徴されるように、大麻の取り扱いは、国連の保守的な薬物政策委員会の変化のメッセージなのです。
ついに約1ヶ月後となった国連の麻薬委員会の投票ですが、なかなか悩ましいトレードオフになりそうな気配も感じます。
大麻抽出物やチンキが、麻薬指定から除外されるのは歓迎すべき事ですから、是非各国には「イエス」に投票してもらいたいですが、同時に、折角育ってきたCBD産業の保護のためには、医薬品としてのCBD規制には「ノー」に投票してほしい。この点では、今年4月にエピディオレックスを麻薬指定から除外しているアメリカに期待です。
利権にまみれた官僚たちの利益を優先する事なく、全人類のためになる決断を期待したいものです。
引用元:https://hemptoday.net/eu-mum-but-usa-opposes-cbd-exemption-from-global-drug-controls/