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CBD原料として注目を集めるヘンプですが、そのほかにも繊維や紙、そしてプラスティックなど多様な製品を生み出す事ができます。一説には25,000を超える用途があると言われており、まさに万能です。
しかし、花からCBDを抽出技術が発展する一方で、茎を有効活用するための技術の開発は、正直あまり進んでいません。
もちろん、CBDが今のところ最もリターンの大きいビジネスであることは間違いないので、これは仕方のない事なのかもしれませんが、しかし一方で、CBD生産に使用される花の収穫後には、ほとんどの茎が廃棄・焼却されているのも事実で、これは環境的な視点から見ても問題であり、経済的な観点から考えても非常に勿体無い事です。
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なぜなら、適切な技術さえあれば、こうした廃棄物として扱われている茎からも多くの製品を作り出す事ができ、生産者はさらに利益を得る事ができるからです。
日本では、大麻取締法によって、最も換金率が高い花の部分の収穫は禁じられており、「大麻草の茎と種」しか使用する事ができないという縛りがあるので、これは日本においてヘンプビジネスを目指す上で、特に重要な問題です。
つまり現行法のもとでは、茎の有効活用法の開発にしか、日本の大麻産業の未来は無いからです。
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言い換えれば、他国がゴミとして扱っている部位しか使う事が許されない状況だからこそ、そこに特化して研究開発を進めれば、その技術で世界中の大麻畑から出るゴミをお金に変えるチャンスがあるかもしれません。
しかし残念ながら、そうした研究が国内で進んでいるという話は聞こえてきません。
そして海外では、そこに着目する企業や研究者が現れてきたようです。
カリフォルニア大学リバーサイド校の環境研究技術センターの研究エンジニアおよび非常勤教授であるチャールズ・カイ氏は、天然由来の溶剤を使用し、有毒な廃棄物を発生させず、二酸化炭素も排出せず、なおかつ大麻草のほぼ100%を、繊維や建設に使用するセルロース繊維、バイオプラスチックに使用する樹脂製リグニン、甘味料として使用する糖、ウェルネス製品で使用する抽出物など、使用可能なコンポーネントに変換するパルプ化法を開発し、特許を取得しました。
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共溶媒強化リグノセルロース分別、またはCELFと呼ばれるこの方法は、再生可能でリサイクル性の高い溶媒を使用して、穏やかな条件下でパルプ化を行い、プロセスエネルギーを節約するとともに、有害な排出物を発生させません。
唯一の廃棄物は少量のミネラルですが、これはプロセスから濾過され、土壌改良剤として使用する事ができます。
CELFはもともと、植物廃棄物からバイオ燃料への変換を補助するために考えられましたが、すべての植物の分解に有効であるため、多様な用途に適応可能だと言います。
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現在カイ氏は、大学生のチームと協力して、EPA (環境保護庁)のP3(People、Prosperity and the Planet Program)と呼ばれるプログラムからの資金提供を受け、ヘンプ処理技術を商品化しています。
昨年、このチームはCELFパルプ化法を使用するための概念実証を行い、大麻繊維を使用して作られたコンクリートである、改良型のヘンプクリートを製作しました。
今年、UC Riversideチームは、ヘンプ加工のためのCELFの改善を継続するために、P3プログラムからフェーズIIの資金提供を受け、新興企業のInnovaCanや、米国ヘンプ建築協会のメンバーであるヘンパイアUSA、Match Patch Pro社、ハード社などと協力し、産学協同で新製品と市場機会の特定に取り組みます。
チームは、大量のヘンプの処理が可能で、生成される繊維製品とリグニン製品の特性を調整・最適化する事ができるカスタムCELF反応器を構築する予定です。
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