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簡潔に説明すると、THC基準を低く設定すると、「設定する側に」下記の莫大な恩恵があります。
1.そうした品種は限られており、その種子で特許を持つ企業が儲かる
2.農家は基準をオーバーするリスクを恐れるので新規参入を防ぐ事ができ、先行企業の利益を保護できる
3.合成カンナビノイドを導入した方が供給が安定するので、製薬企業が儲かる
といった、ごく限られた人々に莫大な利益が転がり込むシステムが構築できるため、アメリカやヨーロッパではロビー活動が活発化しています。
そして今回、この「1%クラブ」にタイが仲間入りしました。
タイのCBDセクターに多大な好影響が
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タイの麻薬管理委員会(NCC)は、ヘンプにおけるTHCの許容レベルを乾燥重量で1.0%に設定すると発表しました。
この発表は、以前から続いていた許容THCレベルに関する混乱した状況を明確にし、これまで0.1%、0.2%または0.3%に設定するなどしてコロコロと変わっていたルールを取り消して置き換えます。
この動きは、タイのCBDセクターの今後の可能性に大きく影響します。
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最大THC濃度1%の規定に加えて、CBD製品は少なくとも99%の純度でなければなりません。別の規制では、THCの試験は認定試験所で実施する必要があるとしています。
NCCは、この変更以前に承認された作物または認証された大麻の種子に対しては、THC規則は施行されないと述べました。
厳密な意味で、大麻またはヘンプから抽出されたCBDオイルは、1979年に制定されたタイの麻薬法の下では、麻薬とは見なされなくなりました。
THC1%へ、今回の決定の狙いは何か?
THCレベルを1.0%に引き上げることで、タイは、ウルグアイ、スイス、オーストラリアなどのヘンプ先進国に加わり、THC含有率の国家基準を最も高い値に設定しました。
ヘンプが合法である世界の多くの国々では、0.3%のTHC含有量が認められています。ほとんどの欧州諸国は0.2%THCのベンチマークで機能していますが、EUのルールは混乱しています。
タイの当局者は、今回の決定の狙いを、ヘンプの抽出物を薬品や化粧品、および食品に向けて使用可能とし、ヘンプを換金作物としてサポートすることを目的としていると述べました。
この変更により、一見、タイは投資家にとって魅力的に見えるかもしれませんが、特にCBDに関して言えば、同国のヘンプの可能性を引き出すのは、それほど簡単では無いようです。
2024年までCBD輸入不可の保護主義的ルール
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まず始めに投資に影響を与えるものとして、規制が考えられます。ヘンプやマリファナの抽出物の販売、輸入、輸出、所有に影響を与える全体的な規制は制約的で厳しいといえます。
例えばこの規制では、2024年までCBDの輸入は許可されておらず、その間にタイの起業家に商業活動を確立する期間を与え、7,000万人のタイの消費者市場から既存の国際大麻企業をブロックすると考えられます。
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また、タイの消費者がいつごろCBDを購入できるかは不明です。
患者のCBDへのアクセスをカバーする規制はまだ書かれておらず、まず最初の兆候として、CBDは大麻を医薬品として使用する訓練を受けた推定1,200人の医師の誰かから出された処方箋を必要とする事が決まっています。
国際的なプレーヤーのタイ入りも必然
CBD生産者は大麻生産ライセンスを取得する必要がありますが、これは政府によって厳しく管理されています。
現在、タイでは公的部門の保健機関や大学関連の病院など、ごく限られた数の認証生産者しかいません。
最後に、タイ政府は外国からの直接投資を許可していません。つまり、タイで製品を製造するために事業立ち上げを希望するCBD企業は、汚職が蔓延していると考えられる公共部門から現地パートナーを見つけなければなりません。
軍事独裁政権に支配されているタイは、Transparency Internationalの2018年汚職認識指数で36/100を獲得し、公的部門は180か国中99位の評価を受けています。
こうした数々の障害にもかかわらず、国際的なプレーヤー達はタイ入りし、ベンチャーキャピタルも大麻企業を支援するために国内に移動していると報告されています。
世界が注目するタイの大麻政策ですが、またもやポジティブな話題ですね。
ただ、外国資本に参入しにくい環境を整えるなど、投資家としては厳しい要件もありますが、自国の利益をハゲタカから守るという意味では政府は素晴らしい仕事をしているのではないでしょうか?
日本のように大麻に関して閉鎖的で情報の少ない状態から、いきなり門戸を開けば、国際大麻企業から食い荒らされるであろう事は、火を見るよりも明らかです。
政治家の皆さんには、こうした海外の例を沢山学んでいただいて、国民の利益となる制度設計に役立ててもらいたいものです。