THCやCBDなどのカンナビノイドは、消費者に安全と安心を提供できる品質保証していくかがポイントとなる
一般的にCBD入り製品は、オイル、クリーム、カプセル、ベポライザー(電子タバコ)、食べ物、飲料等の様々な形態があります。これらを提供する企業にとっては、THCやCBDなどのいわゆる大麻成分=カンナビノイドをどのように検査し、消費者に安全と安心を提供できる品質保証していくかがポイントとなります。
CBD取り扱い企業からこれらの情報は公開されているか?
2013年夏にCNNの医療番組で難治性小児てんかんの少女がCBDオイルで週300回の発作がほとんど治まる奇跡の回復が紹介されると、全米で医療用大麻とCBD製品への注目度が高まりました。
つまり、CBD製品に新規参入する企業が激増し、市場に様々な製品が溢れたのです。ところが、2016年2月にFDA(米国・食品医薬局)は、CBDが含まれている製品テストを行い、製品ラベルの表示と比較してCBDがほとんど入ってないことを各製造販売者に警告を出しています(1)。
2015年にも同様の警告をFDAが出しています。これらの製品は、日本に輸入されていませんが、引き続き注意が必要です。CBD入り製品の分析は、カンナビノイド、テルペン類、重金属、残留農薬、微生物、残留溶媒のテストが実施され、CBD取り扱い企業からこれらの情報が公開されている製品を使うことがよいでしょう。
2017年4月にカンナビノイドの分析に特化した分析キットを発売している
日本で有数の化学分析機器を製造販売するメーカーである島津製作所の米国子会社Shimadzu Scientific Instruments, Inc.からは、2017年4月にカンナビノイドの分析に特化したCannabis Analyzer for Potencyという分析キットを発売しています。
これは、高速液体クロマトグラフ装置Prominence-i(LC-2030-UV)の付属品で、1検体につき、THCやCBD等のカンナビノイド10種類をたったの8分未満で測定できるという優れものです(2)。この性能は、カンナビノイドの検査機関だけでなく、CBD製品の販売業者、現場の生産会社にとって非常に魅力的です。
特にアメリカでは、2019年1月から改正農業法の中で産業用ヘンプの定義が、
「ヘンプ」という用語は、「大麻(学名Cannabis sativa L.)」の植物および、その植物のいずれかの部位(種子と全ての派生物、抽出物、カンナビノイド、異性体、酸、塩、異性体の塩を含む)であり、成長しているか否かにかかわらず、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(delta-9 tetrahydrocannabinol)の濃度が乾燥重量ベースで0.3%以下であるもの
と定められました。これらのTHC濃度が0.3%未満であることを農場で検査する必要性があります。2018年時点において、全米でヘンプは、すでに30,000ヘクタール以上の栽培規模となっています(3)。
これから改正農業法を受けて、各地の州法が再び整備され、栽培面積が4万、5万ヘクタールと増えていく中で、島津製作所のカンナビノイド分析キットは、大きな力となるでしょう。
島津製作所は、毎年行われる大麻科学会議のビッグスポンサー
また、島津製作所は、カナビスの分析業界のレベルアップと情報交換の場として、毎年8月頃に行われるCannabis Science Conference(大麻科学会議)の最も金額の大きいタイトルスポンサーを務めています(4)。この会議は、2016年から実施され、前回の2018年の会議には、3,000人以上が参加しました。会議併設で行われるカンナ・ブート・キャンプでは、栽培、抽出、サンプル前処理、分析テスト、食用製造など、すべてを網羅した一日のワークショップは予約がすぐ埋まるほどの人気ぶりです。
カンナビノイド検査分野の専門家がまだまだ少なく、分析業界自体が発展途上にある中で、島津製作所のこれらの取り組みは、安全性や品質保証の点から社会的に大きく貢献しているといえるでしょう。
参考
(1)16年2月にFDA(米国・食品医薬局)ニュース
http://www.fda.gov/NewsEvents/PublicHealthFocus/ucm484109.htm
(2)Shimadzu Cannabis Analyzer for Potency
https://www.ssi.shimadzu.com/products/liquid-chromatography/cannabis-analyzer.html
(3)2018 U.S. HEMP CROP REPORT
https://www.votehemp.com/u-s-hemp-crop-report/
(4)Cannabis Science Conference 2019