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中国の黒龍江省から学んだ産業用ヘンプのこと

中国黒竜江省ヘンプ産業視察ツアーを終えて

中国は、世界最大の産業用大麻(ヘンプ)の生産国であり、中でも黒龍江省は、2017年の栽培面積が28,000ha、全国の60%を占める国内最大の面積を誇り、雲南省とともにヘンプの栽培が盛んな地帯として世界的にも有名です。従来の紡績産業に加え、最近では、各種繊維製品、健康食品、化粧品、医薬原料など様々なヘンプ製品を製造・販売する新たなヘンプ産業が急速に発展しています。

この背景には、世界的に進む大麻(医療用、嗜好用大麻を含む)の合法化の流れと各国におけるヘンプ産業の発展があり、中国政府と省政府も積極的に新産業を支援する政策を展開して、民間企業のヘンプ産業への新規参入を強力に後押ししているようです。

今回のツアーの目的は、2017年5月に薬物禁止条例の改正を行った黒龍江省のヘンプ関連の法的整備の状況と同省科学院大慶分院におけるヘンプ研究の視察ならびに昨年設立されたばかりの民間会社の大規模ヘンプ農場と一次加工工場の見学でしたが、特に、黒龍江省科学院の趙立涛副院長は、2017年の同条例の改正に科学院の代表として深くかかわった関係から中国のヘンプ関係の法令についてたいへん詳しく、当協会が提言している北海道ヘンプ条例の制定に参考となる貴重なお話をお聞きすることができました。また、カナダとウクライナとの国際共同研究を実施中の大慶分院の研究レベルの高さと民間会社の大規模栽培や新鋭の一次加工工場には大変感銘しました。

趙副院長によりますと、中国には、制定後20年以上経過して古くなった法律や条例を見直す制度があり、各省政府の法律事務所(国務院司法部)が改正作業を専門に行っているそうです。科学院は省政府を3年がかりで説得して、THC0.3%以下は工業用大麻とする条例改正に成功し、その結果、工業用大麻であれば届け出によって誰でも栽培できるようになり、面積も急拡大中とのことでした。

このようにTHCの含有率によって工業用大麻を定義し、これを積極的に普及している中国に比べて、制定後70年も経過している大麻取締法の見直しをせず、THCの含有量に関わらず大麻はすべて麻薬として厳しく取り締まる日本は、ヘンプに関しては世界から大きく遅れ、いまだに鎖国中であるかのようです。国や道には、中国のようにヘンプに関する世界の動向を自ら調査分析し、ヘンプ産業の振興に必要な法改正や条例の制定に積極的に取り組んでいただきたいものです。

今回のツアーには、北海道産業用大麻可能性検討会の松井博和座長、北海道議会産業用大麻(ヘンプ)推進研究会(会長:加藤礼一前道議会議長)の広田まゆみ副会長と藤沢澄雄事務局長が特別参加してくださいました。お忙しい中、たいへんありがとうございました。先生方には、今回の視察を通じて、これまで当協会が訴えてきた北海道ヘンプ産業振興条例(仮称)の必要性をご理解いただいたようですので、条例制定の早期実現に向けて特段のご尽力をお願い申し上げます。

北海道と黒龍江省は姉妹州であり、同省の首都ハルビン市と旭川市は姉妹都市ですが、これまで、様々な分野で国際交流が行われてきました。今回、はからずも中国側からの提案によって、当協会と科学院大慶分院(孫宇峰院長)の間で、ヘンプに関する「中日科学技術協力協定」を締結することができました。両機関は今後5年間にわたり共同研究に取組みますが、この協定が北海道と黒龍江省の間のヘンプに関する公式な国際交流に発展することを願っております。

最後に、今回のツアーの企画、実施に当たり日中双方の皆様、特に黒龍江省政府ならびに同省科学院、同大慶分院、天木工業大麻科技開発有限公司、北海道議会産業用大麻(HEMP)推進研究会、北海道総合政策部国際課、北海道農政部農産振興課(北海道産業用大麻可能性検討会事務局)、旭川市、東武トップツアーズ株式会社、現地通訳スタッフ、同行取材のヘンプトゥデイジャパン編集部の皆様に大変お世話になりました。心から感謝申し上げます。たいへんありがとうございました。

一般社団法人北海道ヘンプ協会 代表理事 菊地治己

中国の黒龍江省から学んだ産業用ヘンプのこと

中国黒龍江省ヘンプ産業視察ツアー2018報告書 A4判、全60

1.はじめに

2.ご挨拶(特別参加)

北海道大学名誉教授 北海道産業用大麻可能性検討会座長             松井博和博士

北海道議会議員 北海道議会産業用大麻(HEMP)推進研究会副会長   広田まゆみ氏

北海道議会議員 北海道議会産業用大麻(HEMP)推進研究会事務局長  藤沢澄雄氏

3.ツアー概要

4.訪問先 1)黒龍江省科学院大慶分院 2)天木工業大麻科技開発有限公司

5.中国ヘンプ産業の現況と大慶分院のヘンプ研究について

        省科学院大慶分院科研科長 王云云博士

6.産業用ヘンプに関する中国の法的規制と黒龍江省のヘンプ政策について

        省科学院 趙立涛副院長

7.意見交換特にヘンプの普及、認知度向上に関することについて

8.中国及び日本の科学技術協力協定の締結

9.協力協定に基づく今後の活動計画

10.写真集

11.参加者の感想

12.資料集

13.関係団体紹介

 

追録:「持続可能な開発と天然繊維の多様な利用に関する国際シンポジウム2018

および「南方経済作物に関するフォーラム2018」の報告概要なお、本ツアーについて詳しい報告書は、北海道ヘンプ協会の正会員、準会員、賛助会員になることで入手できます。

こちらのホームページからお問い合わせください。

http://www.hokkaido-hemp.net/

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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