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THC(テトラヒドロカンナビノール)をめぐるヨーロッパでの大論争: 前に進むか、取り残されるか

THC(テトラヒドロカンナビノール)をめぐるヨーロッパでの大論争: 前に進むか、取り残されるか産業用ヘンプに含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール:大麻草に含まれる向精神物質)の基準に関する正しいルールを決めるために、ヨーロッパは早急に行動を起こさなければ、20世紀、そして21世紀の穀物リバイバルのリーダーとしての正当な立場を維持し続けるための歴史的チャンスを逃すことになるかもしれません。

ヨーロッパ諸国のほとんどは、大麻中のTHC含有量リミットは0.2%というEUの指示に従っていますが、世界でも大麻生産の多い幾つかの国々では、世界的にほぼ受け入れられている0.3%で運用しています。そして中には、規定含有量を増やして、ずっと高い数値で運用している国もあるのです。

*編集局注:0.2%と0.3%の基準値には、どちらにしても人体に精神作用を及ぼすことがない事が科学的に示されているため、この基準には意味が無いというのがヨーロッパ大麻産業界の常識。しかし大麻草のTHC含有量は、気候などの条件で簡単に左右される為、仮にそれが0.2%を超えた場合、ヨーロッパの農家は全ての収穫物を廃棄しなければならない。この0.1%の違いは生産者側にとって大きな違いで、例えば北米の基準は0.3%なので、ある年の夏に日照時間が伸びた為に、ヨーロッパのヘンプが0.2%を超えてしまい、農家がその作物を廃棄している時に、北米の農家が市場を独占するといった状況が生まれる。

こうした規定量が厳しいヨーロッバでの状況のマイナスの影響は、バリューチェーンのあらゆるところで、特に大麻由来食品と医療用大麻の部門において顕著になっています。

この問題は、種子の段階から始まります。EUから命じられているTHC含有量が0.2%までという「実地」ルールが意味しているのは、ヨーロッパの科学者や研究者たちは、現在非常に需要が高く収穫量が高い品種やCBD含有量の高い種子を開発しようとする意思がないということです。そのような種子のTHC含有量が飛び抜けて高いわけではないのですが、日照時間や平均気温などの些細な影響で0.2%を超えてしまうことは、簡単に起こり得るのです。同時に、特に東ヨーロッパ産の収穫量の多い品種の大麻種子には、THCを0.2%以下しか含まなくなるような栽培方法では育てられないものがあります。時間、価値、そして資本が、すでに失われているのです。

目次

未来に帰れ

THC含有量0.2%という基準のために、ヨーロッパがどれほど他の国々から遅れをとることになっているかを理解するためには、少しばかり時を遡って、ヨーロッパの産業用ヘンプのTHC限界値が0.5%と定められた1984年から始める必要があります。しかし早くも1987年には、1970年代にIAPT(国際植物分類学連合)によって定められ、そしてアメリカの植物学者アーネスト・スモールとアーサー・クロンクイストが行った、高く評価されていた基準に適合させるため、限界値は0.3%に削減されました。2人のIAPTに依頼された仕事が、後に(花の乾燥重量で)THC含有量0.3%をヘンプ(ドラッグではない麻-工業用大麻)とインド大麻(ドラッグとしての大麻-マリファナ)の境界線となりました。

一般的にはヨーロッパが手本となったため、0.3%という基準は、やがてカナダや他の国々でも採用されることとなり、それらの国々では現在も、それが法的な指針となっています。

一方ヨーロッパでは一歩後退し、1999年に産業用大麻のTHC許容含有量は0.2%ということになりました。なぜでしょう?

2016年デュッセルドルフに本拠を置く、一流の業界顧問会社HempConsultがEUの定めた0.2%規制の背景をまとめることで、ヨーロッパにおけるTHCの状況を明らかにして見せました。その報告書が、この問題についての実りある議論を引き起こすこととなり、結局2018年にはヨーロッパ工業用大麻機関(EIHA)が、その課題を引き継いで、独自の状況分析を記者発表することとなったのです。

繊維と助成金

20世紀の終わり頃になって、黎明期のヘンプ産業がヨーロッパで再び盛んになると、新たな出資者たちは、大麻を繊維利用のため栽培することに力を入れるようになりました。なんとかしてEU指導の範囲内に留まろうとし、また世界規模の麻薬戦争の影にも怯えていたので、栽培業者は、もしもヘンプを育てたいのであれば、1999年の0.2%基準に従うよりなかったのです。彼らには、穀物生産を助成する目的で作られたEUの助成金プログラムの対象となるには、それしか方法がありませんでした。その助成金はヨーロッパでの麻繊維生産をリードしていたフランスで特に人気でした。フランスでは時折、国家助成金をさらに上乗せすることで、政府は助成金プログラムをより魅力的なものにしていたのです。

フランスはヘンプから利益を得る絶好のポジションにありました。1980年代から1990年代にかけてTHC含有量の少ない大麻を開発し、それを製紙部門や建設部門に提供していたのです。

EUにおけるTHCの限界値を0.5%から0.3%に、そして最終的に0.2%に下げるという動きが、フランスのヘンプ産業界から始まった、とまでは言えないにしても、反対されたことは決してないと考える十分な理由があるのです。

CBDと食品部門での急成長

21世紀になると、ますます多くの企業が、ヘンプから取れるCBD(カンナビジオール)が持つ健康面の価値と、食品としての可能性を認識することとなりました(まさにスーパーフードなのです)。2018年まで一気に話を進めると、食品の分野も健康食品の分野も、現在大いに繁栄しています。ヘンプ食品は世界中で主流となり、これまで以上に店舗などで目にするようになっています。そして大麻の緑の部分(花、葉)のTHCを、大麻種子の殻に含まれるTHC混成に正比例させる必要はないのだと理解することが重要なのです。

結論: EUからのヘンプ栽培助成金は衰退しつつありますが、それでも0.2%規制値は残り続けています。もしもTHC規制が撤廃されれば、繊維分野での(フランス企業による)独占は、EUの押し付ける0.2%規制値を上回る品種のヘンプによって脅かされることとなるでしょう。

狭き門

過去10年間のグリーンラッシュ(1850年代に米国西部で起こったゴールドラッシュに因んで、近年の大麻産業の急成長をこう呼ぶ)の中で浮き沈みを経験してきたCBDは、現在では世界のヘンプ産業が創出する利益の、優に半分以上を担うようになっています。

現在のEUによるTHC含有量0.2%と言う制限は、とても狭き門であり、ヘンプ食品およびCBD産業の成長を極端に遅らせています。ヨーロッパ産業界全体にとっても、世界市場に進出する上での障害であり、この障害はさらに困難なものとなるでしょう。なぜならば、EU加盟国が0.2%を0.3%に上げてもらうなどいう、わずかばかりの修正に必死になっている間に、皮肉なことにEU加盟国ではないスイスに先導される形で、世界は前進しています。スイスは畑で栽培される産業用大麻のTHC含有量を10%まで許可しているのです。スイスが、紙で巻けばタバコになるCBD含有量の高い大麻の葉で、小袋に入れて売られているタバコ様大麻“Nobacco”で近年経験している成功は、論理的に作られた規制が直接的そしてプラスの経済的結果をもたらすという顕著な例なのです。

Nobaccoで儲ける

ヘンプ食品やヘンプ由来のサプリ、あるいは医薬品に10パーセントのTHCが入っていても摂取者がハイになることはない、という科学的に実証された事実を政府が認識したことが理由となり、10%が基準となったスイスの生産業者は昨年巻き起こった最新のヘンプブームで大儲けをすることになりました。0.2%のTHC規制値を気にする必要がなくなったので、生産業者は気兼ねなくCBD含有量の高い大麻種子を加工できるようになったのです。他の国々、例えばウルグアイ、オーストラリアは、スイスの例に倣ってTHC制限を廃止する議論をすでに始めています。他の国々もやがて水準を上げていくことでしょう。

競合するために、ヨーロッパは変わる必要あり

こういった製品が、健康維持にも治療にも役立つということを消費者が知るようになるにつれ、ヘンプ食品と医療大麻の分野は集中的な成長を見せています。EUには、ヨーロッパで生産されるヘンプの今のポジションを支え、競争が激しく急激に進歩しつつある現在の世界市場で戦えるレベルを達成するために、大麻中に許容されるTHC含有量を0.2%から0.3%へと早急に上げなければなりません。この動きの早い業界において、このまま何も変わらなければ、ヨーロッパのヘンプ生産者は、ますます遅れをとるということをEU各国の指導者たちは認識せねばなりません。そして変化の必要はまだまだ続くのです。

HEMPTODAY 2018年6月27日)

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AUTHORこの記事をかいた人

日本臨床カンナビノイド学会員。北海道ヘンプ協会(HIHA) 法人会員。

美容クリニックで専門医監修の下、CBDオイルを利用したアトピー性皮膚炎の治療を開始。1年間の観察結果からアレルギー数値と、症状の改善がきっかけで大麻の可能性を一人でも多くの方々に知ってもらいたいと思い立ち、編集局員として参加。

「HEMP TODAY JAPAN」を通じて、「世界の大麻産業」の真実を知ってもらう必要があると考えております。

そして、大麻へのマイナスイメージを払拭がされ、医療分野、産業分野問わず、大麻由来製品を誰でも簡単に低コストで利用できる環境を望んでいます。

2017年6月~青山エルクリニックモニター参加。
2018年5月「Hemp Food, Health & Beauty Summit」(HTセンター/ポーランド)。
2018年8月「中国 黒龍江省ヘンプ産業視察ツアー2018」参加。

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