これまで8,000トン以上のヘンプを輸出
ジンバブエのヘンプ産業への関心は高まり続けている一方で、業界関係者は、新興分野での困難に直面している状況です。
ジンバブエの農業市場庁(AMA)のCEOであるクレバー・イサヤ氏は、先日のフィールドデーイベントで、ジンバブエのヘンプ産業が大きな規制上の進展を遂げたものの、成長を阻害するいくつかの障害に直面していると、ジンバブエ・メール紙に語りました。
イサヤ氏によると、業界関係者は、種子の入手制限、高い栽培コスト、そして市場の不安定さに悩まされており、これらが事前に取り決められた取引の破棄につながるケースもあるといいます。
報告によると、ジンバブエはこれまでに8,000トン以上のヘンプを輸出しており、その主な用途はCBD向けの花のバイオマスです。輸出先は主にポーランド、スイス、ドイツでしたが、一部の取引がキャンセルされた可能性が示唆されています。
知識のギャップ
ジンバブエのヘンプ産業におけるもう一つの喫緊の課題は、大麻栽培に関する「知識のギャップ」だと、イサヤ氏は指摘しています。特に新興のヘンプ産業に携わる多くのジンバブエの農家が、栽培における最適な実践方法に関する十分な知識を欠いている状況です。この知識不足に加え、高額な初期投資が必要であることが、小規模農家にとって参入障壁となっているといいます。
「種子の入手制限が、多くの登録農家にとって生産の大幅な遅れを招いています」とイサヤ氏は説明しました。国内で種子が利用できない場合、多くの生産者が高価な輸入種子に頼らざるを得ない現状があると述べています。
「ヘンプたばこやCBDオイルの市場拡大といった新商品の開発に期待しています」とも述べ、革新がヘンプ農家の課題解決を助ける可能性があると示唆しました。
これらの生産課題に加え、AMAのアグリビジネス部門ディレクターであるジョナサン・ムクルバ氏は、今年初めに研究と能力構築の重要性を強調していました。
最近の動向
ジンバブエのヘンプ栽培への取り組みは、2019年に制定された「産業用ヘンプ規制(法令218号)」から本格的に始まりました。この規制により、産業用ヘンプの栽培と生産が公式に合法化され、成長が期待される産業の基盤が築かれました。
2020年までには、政府が国内市場におけるCBDをハーブ医薬品として解禁し、さらに2022年の「刑法改正法案」によって、マリファナとヘンプの法的区別が明確化されました。
これらの規制上の進展にもかかわらず、発展の速度は予想を下回っており、ジンバブエの環境に適したヘンプ品種の開発は未だ進行中です。
ジンバブエ政府は、現在国の輸出額の約20%を占めるタバコ産業の衰退を補う可能性のある産業として、産業用ヘンプに期待を寄せています。しかし、この分野がその可能性を最大限に発揮するためには、CBD生産だけに留まらず、食品、繊維、その他の産業用途への多様な展開を模索する必要があると専門家は指摘しています。
編集部あとがき
今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。
1. ジンバブエのヘンプ産業は成長可能性を持つが課題も多い
ジンバブエ政府はヘンプ産業をタバコ産業の代替として期待しています。しかし、種子供給の不足、高額な栽培コスト、不安定な市場構造が成長を阻害しています。これらの課題が解決されない限り、産業の持続可能な発展は難しいでしょう。
2. 知識ギャップと小規模農家の参入障壁
農業知識の不足と資金面の高いハードルが、小規模農家の参入を阻んでいます。この状況を打開するためには、技術支援やトレーニングプログラムの実施が不可欠です。特に、地元の環境に適したヘンプ品種の開発が急務です。
3. ヘンプ産業の多様な可能性を活かすべき
現在は主にCBD生産に焦点が当てられていますが、繊維、食品、建築資材などの用途拡大がジンバブエのヘンプ産業における長期的な成功の鍵となります。これらの多様な可能性を追求するためには、研究開発への投資が重要です。
4. 規制上の進展が進むも、実現には課題が残る
2019年以降、規制面での大きな進展が見られましたが、実質的な成長には時間がかかっています。特に市場の透明性と安定性を確保するための政策強化が求められています。