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ビクトリア州ヘンプ農家6名、200ha未満から5,000haで50,000トンのヘンプシヴと繊維の生産可能を目指す

目次

ビクトリアヘンプ関係者、産業創出には健全なルールが必要だと指摘

ビクトリア州のヘンプ関係者たちは、州内でヘンプ産業がその真の可能性を発揮するためには、関連する規制を緩和する必要があると述べています。

現在、ビクトリア州議会の経済・インフラ委員会は、議会調査の一環としてヘンプ産業の可能性を調査中です。この委員会は、最終報告と議会への勧告を出す予定です。

ビクトリア州で本格的なヘンプ産業が発展するためには、いくつかのことが必要だと関係者は述べています。

まず、CBDのようなカンナビノイドをはじめ、リグナン、ペクチン、バイオフラボノイド、アントシアニンの生産のために、ヘンプの花穂の抽出を合法化する必要があります。

「ヘンプ=ドラッグ」での規制基盤のビクトリア州

ヘンプ産業支持者たちは、厳しすぎる規制やコストのかかる監視要件の抜本的な見直しが必要だと主張しています。また、安全性、品質、持続可能性を重視する政策も必要です。

特に建設業界では、消費者の期待と保険要件に応える規制と建築基準が必要です。

リーズン党のリーダーであり、元議員のフィオナ・パテンは最近、委員会に対し、ヴィクトリア州はヘンプ法を発展させ続けているタスマニア州の例に従うべきだと述べました。

「規制改革は政府に費用をかけさせるものではない、クイーンズランド州とビクトリア州のみがヘンプの栽培を薬物として扱っています。他の各州はそれぞれ独自のヘンプ法を持ち、それを工業的な農作物として見ています」。と、パテン氏は述べました。

5,000haで50,000トンのヘンプシヴと繊維が生産可能に

現在、ビクトリア州のヘンプ産業は非常に小規模で、わずか6人の農家が200ヘクタール未満の土地で栽培しています。

しかし、ヘンプ産業支持者たちは、年間5,000ヘクタールの産業用ヘンプを植えることで、建築用の自然素材として50,000トンのヘンプシヴと繊維が生産できるとしています。

これは、従来の建築材料が不足し、価格が上昇している中での一つの解決策です。

ヘンプ産業支持者たちは、政府が産業用ヘンプの法的枠組みを強化すると、経済成長、雇用機会、イノベーションが続くだろうと主張しています。

原生林伐採における経済損失をヘンプで代替していく

関係者は、ヘンプ産業が強化されれば、政府が2023年末に原木伐採を停止するという5月の発表に伴う経済的な空白を埋めることができると述べています。この措置により、州経済への影響は約11,000万豪ドル(約108億円)に上ると見積もられています。

参考過去記事:2023年7月23日 カーボンクレジットにヘンプを有用していく豪州、200億円産業を止めてでも向かうヘンプでクリーンな未来

原木伐採業界を閉鎖するにあたり、政府はそれがもはや経済的に実行可能ではないとし、森林減少や生物多様性の喪失に対する懸念を理由に挙げました。

連邦政府は、オーストラリア全土での気候変動対策において、産業用ヘンプが貴重なツールになる可能性があると述べています。

ここでは、農業がCO2排出量の約13%を占めています。オーストラリアは、パリ協定に基づいて、2030年までに2005年レベルから26-28%の排出量削減を目標としています。

まとめ

当記事は、オーストラリアのビクトリア州におけるヘンプ産業の潜在的な成長とその障壁に焦点を当てています。

1. 産業の可能性: ビクトリア州のヘンプ産業は、6名、200ha未満と現在小規模ですが、関係者たちはこの産業が持つ大きな可能性を強調しています。特に建築業界での天然建材としてのヘンプの利用や、CBDや他のカンナビノイドの抽出の法的認可が重要です。

2. 規制の緩和の必要性: ビクトリア州の産業がフルに機能するためには、現在の厳格な規制やコストのかかる監視要件の見直し、消費者の安全、品質、持続可能性に焦点を当てた政策が必要とされています。

3. 環境への影響と経済的利点: ビクトリア州の原木伐採業界の閉鎖に伴う経済的影響をヘンプ産業が補う可能性があります。ヘンプ産業の強化は、地球温暖化対策や生物多様性保護に貢献することも期待されています。

HTJ
集部あとがき。ヘンプの規制と栽培者とその土地の状況においては、日本に大変近い状態かと思われるビクトリア州ですが、ヘンプ産業に力を入れていくきっかけとなった出来事が、過去記事(「2023年7月23日 カーボンクレジットにヘンプを有用していく豪州、200億円産業を止めてでも向かうヘンプでクリーンな未来」)も合わせて参考に頂きたいのですが、ざっくり言いますと、林業の停止です。その停止における経済損失は100億円以上とも言われ、その損失補填に、今年の6月ごろからヘンプ産業が州をあげて盛り上がっていく形となってきました。さらにこれまでの林業がヘンプに代替されることで期待されるカーボンクレジットによる収益化も付随して環境負荷を訴えながらヘンプ産業拡大導入の活動を強めています。ヘンプ産業を盛り上げるためには、日本も同様に、川上から川下までの知識の啓蒙活動がとても重要になってきますが、オーストラリアの場合は、医療大麻が合法化されていたり、ヘンプ食品もすでに幅広く流通されていたりと、日本でいう大麻草栽培法の1種、2種ともに稼働しているような州がある状況です。とはいえ、州が掲げていたプロパガンダが大麻に対してネガティブであればあるほど、そこからポジティブ転換していくには、日本の業界の皆様もご理解いただいている通り、大変時間がかかります。ビクトリア州の林業の目先では莫大な経済損失が見えている状況で、遠くの未来ではヘンプ産業が栄え、これまで林業で製造されていた建材達もヘンプで代替していく。といった、今となっては、誰もが描ける(まだ)机上の空論。を、軸に動き出しています。「目先の損失」と「未来の代替製品」、その間をゆらぎながら啓蒙活動とロビー活動に力を注ぐビクトリア州のヘンプ産業支持者達の動向に、日本も参考にできる共通項となるヒントが見えてくるかもしれません

 

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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