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アメリカCBDバブル崩壊を「見事に回避」サウスダコタ州のうさぎと亀の「亀の方」戦略を見る

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ヘンプ関係者からの規制緩和は州知事が拒否したが、、、

州上院は先日、部分的に加工されたヘンプの花穂の取り扱いに関する規則を改正する法律案について、州知事の拒否を支持しました。

この法案は、ヘンプの花穂をCBDやその他のカンナビノイドに加工する際に、ヘンプに含まれるTHCの量を0.3%から0.5%に引き上げるものでした。

サウスダコタ州のCBD生産者を支援するはずだった「THC0.5%案」が失敗に終わったとしても、農家がヘンプ繊維とヘンプ食品(シードなど)に望みを託している同州のヘンプ産業全体には大きな影響はないとされてます

今回の法案に盛り込まれた「0.5%案」は、「カンナビノイド生産者の市場参入を容易にし、ヘンプ品種の選択において生産者に多くの選択肢を与えるものであった」と、「0.5%案支持者」は述べました。

反対派は、この法案を否決するために、いつものように大麻を脅かす戦術(悪と見せるプロパガンダ)をとっていました。

うさぎと亀の亀の方!?CBDバブル崩壊を逃れる

アメリカ全土ではCBDバブルがおきていたにもかかわらず、サウスダコタ州の農家の間では、CBD用のヘンプ栽培が大きく普及することはありませんでした。

その理由は、2018年の農業法案でヘンプが連邦レベルで合法化された後、サウスダコタ州は2020年までヘンプ法案を可決しなかったことに起因します。

この「遅れた可決」が今、恩恵を受けている形です。

過去3年間で全米のヘンプの花穂が貯蔵庫に積み上げられ、CBD原料価格が90%以上も暴落したことで、CBD原料セクターが壊滅的な打撃を受けたCBDバブルの崩壊を、同州の栽培者たちは逃れることができています。

例えば、サウスダコタ州のヘンプ農家は、最初からヘンプ食品やヘンプ繊維に力を入れており、州の統計によると、2021年にはたった35エーカー(1,674エーカー中なので約2%)の土地がCBDフラワーの生産に充てられていただけでした。

全米第2位のヘンプ栽培面積を保有するまでになる

2021年から2022年にかけてヘンプ栽培面積を実際に増やした数少ない州の1つであるサウスダコタ州では、州の農業・自然資源省(DANR)によると、2021年の1,674エーカーから昨年の2,540エーカーへと35%増加しました。

ちなみに、ネブラスカ州は4,609エーカーから260エーカーへと落下してます。ご興味がありましたら、こちらの過去記事をご参考ください。

2023年 3月8日 CBD大暴落「ネブラスカの悲劇」に学ぶ。州の条例を連邦規則よりも厳しくしてしまったがために…

これにより、州の産業用ヘンプ協会の分析によると、サウスダコタ州は全50州の中で産業用ヘンプの生産者として第2位となっています。

米国北部の他の州と同様に、サウスダコタ州は緯度や気候の条件から、ヨーロッパで実績のあるヘンプ食品(シード等)とヘンプ繊維の栽培に適しています。

DANRによると、農家は食品用の麻の実と、建材やその他の産業用の繊維の生産が有望だと考えています。

今回消滅した法案、CBD業者の参入障壁は高いまま

0.5%法案」の支持者たちは、上限値の引き上げが消費者向け製品に0.5%のデルタ-9 THCを含む製品が流通することを意味しないことを強調していました。

カンナビノイド用のヘンプ栽培中にTHCレベルが加工中に上昇することがありますが、製品完成時にはTHCレベルを減らすことができます。

オレン・レスマイスター議員(0.5%賛成派)は、「私たちのこの法案は0.5%で製品を販売することを許可していない、あくまで製造中に上昇するTHCに対する対処である」と述べ、農場からのヘンプは今後もTHC0.3%未満であることが求められることを強調しました。

しかし、この法案は失敗し、現行の0.3%以下の制限が維持されています。

デルタ8も嗜好用もヘンプCBDも合成も混ざり合って議論

反対派は、THCの加工中の許容限度値0.3%から0.5%へと引き上げることで、THCを含む製品の効力と入手可能性が増すことになると指摘しました。

すでにサウスダコタ州民は、嗜好用大麻に反対票を投じていることを反対派の彼らは指摘しています。

「この、0.5%にするという法案は、THC製品を市場に簡単に出す手段となっていく」と、スピアフィッシュ出身の共和党員であるメアリー・フィッツジェラルド議員(反対派)は述べています。

「アメリカ合衆国で、加工過程の製品が最大0.5%THCを含むことを許可している州は2つしかありません。それは、厄介なコロラド州とニューヨーク州です。両州ともに、嗜好用大麻を合法化しています」とフィッツジェラルド議員は語っています。

サウスダコタ州では、デルタ-8 THC製品が、州レベルでも連邦レベルでも規制されていないため、ヘンプとTHCをめぐる議論が混乱しています。

アメリカ各地で大量のCBD原料が押し寄せる状況が生じており、一部のヘンプ栽培者たちは、THC制限値0.3%を超えたCBD原料の廃棄を避けるために、デルタ-8を含む製品を製造する生産者に助けを求める事態が発生しています。

デルタ-8は、ヘンプ由来のCBDに基づく合成THCであり、マリファナ由来のデルタ-9 THCと同様に、高揚感をもたらします。連邦当局や他州の当局は、CBDCBDから合成されたデルタ-8製品の安全性について、規制がないため、消費者に警告しています。

更に、共和党のノエム氏は、大麻の法案に関して手のひらを返すことが多いという歴史があります。

彼女は2019年に州内での産業用ヘンプ生産を合法化する法案に拒否権を行使し、法執行機関が対応できない課題が生じると主張し、さらにこれが嗜好用大麻の合法化への第一歩になってしまう。と懸念をしめしました。

しかし、最終的に彼女は反対を撤回し、2020年にヘンプ法案に署名しました。

その後、ノエム氏は医療用大麻についても同様に一転し、2021年に提案された法案を支持しました。

この法案では、合法的な患者が少量の大麻を所持することを非犯罪化することが求められていました。これは、彼女がサウスダコタ州議会を使って2020年に承認された医療用大麻法の施行を20217月に阻止しようとした試みが失敗した後のことでした。

医療用大麻の規則が新たに追加更新

ヘンプのTHC規制案は、ノエム氏が州の嗜好用含む医療大麻規制を改正する一連の法案のうちのひとつで、法案に署名し法制化されました。

これには、エイズ/HIV、ALS(ルーゲリック病)、多発性硬化症、がんやがん治療のための化学療法を受けている患者、クローン病、てんかん、および心的外傷後ストレス障害(PTSD)の患者が州の医療用大麻プログラムの対象となることを拡大するものが含まれています。

他にも2つの新しい法律が制限的なものです。

ひとつは、妊娠中または授乳中の患者に対して、医療用大麻が購入できないようにすることと、もうひとつは、医療大麻療法を推奨する医師が、自分たちのサービスと引き換えに、それらの割引や他の金銭的インセンティブを提供することを禁止するものです。

サウスダコタ州ってどんなところ?豆知識

サウスダコタ州は、自然が豊かで観光スポットが多いです。アメリカ合衆国中西部に位置する州で、日本のどこかに例えると、北海道や東北地方がイメージに近いかもしれません。

サウスダコタ州には、黒ヒョウやバイソンなどの野生動物が生息するバッドランズ国立公園、アメリカ合衆国の大統領が彫像化されたマウントラッシュモア国立記念物、アメリカ先住民文化を体験できるスー族博物館など、多彩な観光スポットがあります。

サウスダコタ州の観光スポット5選

マウントラッシュモア国立記念物、画像:引用元

  1. マウントラッシュモア国立記念物:アメリカの歴代大統領の彫像が並ぶ観光名所
  2. バッドランズ国立公園:壮大な渓谷や峡谷、荒涼とした景観が広がる自然保護区
  3. コーネル・プレイス:全長650フィートの遊歩道がある、高さ475フィートの展望台からの眺めが素晴らしいスポット
  4. ウォール・ドラッグ:アメリカで最も有名なドラッグストアで、多彩な雑貨やお土産品が売られている
  5. スー族博物館:スー族の歴史や文化、生活について学べる博物館

スー族とは?:スー族はアメリカ先住民の一つで、プレーリーを中心に広く分布しているネイティブアメリカンの民族です。スー族は、スー語派と呼ばれる複数の部族からなる大きな集団で、スー族全体で数十万人の人口を持っています。19世紀後半には、スー族とアメリカ政府との間で、白人開拓者による土地の侵略や不法な狩猟に対する反乱などが起こり、軍事的な衝突が続きました。これらの戦争や交渉の中で、スー族は多大な犠牲を払い、虐殺や強制移住などの人権侵害を受けました。現在でも、スー族はアメリカ先住民族の中で最も貧困層に属しており、さまざまな社会問題に直面しています。サウスダコタ州には、スー族の保留地が複数あります。主要なものとしては、パイン・リッジ保留地やスタンディング・ロック保留地、チェイニー・リバー保留地などがあります。これらの保留地は、スー族の伝統文化や生活様式が残る場所として、観光客にも人気があります。

また、州内には多くの大学や研究機関があり、高い教育水準を誇っています。サウスダコタ州には、アメリカの中西部の風景や文化、歴史を感じられる魅力がたっぷりの州です。

人口とその密度と日本の類似都市

サウスダコタ州の人口は、2020年の推計で約 89万人です。雰囲気としては、北海道がイメージに近いかもしれません。ただし、サウスダコタ州は広大な面積を持ち、人口密度が低いため、都市部と非都市部で大きな人口差があります。

例えば、北海道の釧路市の人口密度は、2020年現在で1平方キロメートルあたり約74人程度です。これに対して、サウスダコタ州の平均的な人口密度は4.4人程度です。ちなみに、東京は6,800人くらいです。

それくらい自然に囲まれているのがサウスダコタ州です。

サウスダコタ州の平均世帯収入と主要産業

サウスダコタ州の平均世帯収入は、2020年時点で約26,300ドル(約353万円)です。主要な産業としては、農業、畜産業、観光業が挙げられます。農業では、小麦、トウモロコシ、大豆、牛肉、豚肉などが主要な作物・畜産品となっています。

また、観光業も盛んで、マウントラッシュモア国立記念物やバッドランズ国立公園、ウォール・ドラッグなどの観光スポットが人気です。

サウスダコタ州の人口のほとんどは、都市部に居住しています。2019年の推計によると、約89万人の州民のうち、都市部には約72%が居住しているとされています。州内には、大学も多くあり、州民の一部は大学卒業後、企業に勤めるなどしています。ただし、農業や畜産業も依然として重要な産業であり、州内には多くの農場や牧場があります。

HTJ
編集部あとがき。注目すべき点、CBDバブルの崩壊を受けてないすごい州です。アメリカ全体の法律、連邦法で「ヘンプ合法化」が2018年に決まってから、2年遅れで正式に州内でヘンプを合法にしたことで、CBDバブル崩壊を回避してます。つまり「出遅れ(慎重)」が原因でCBDバブルに乗り遅れ、、、崩壊回避。そんなことってあります?というお話です。その甲斐もあってか、サウスダコタ州は北海道のような広大な地の利を生かして、ヘンプ食品とヘンプ繊維にヘンプ事業を「全振り」します。CBDはヘンプ全体面積の約2%とかなり極小な面積です。その上で、「全米2位のヘンプ栽培面積」を保有するまでになりました。お見事です。慎重に慎重を重ね、判断を右往左往させつつ、手のひらをひらひらと返しつつ(日本のあれに近い)、結果、全米2位を獲得。記事にもあるとおり、まさかの「恩恵」ですね。ここに一つ、未来の日本のヘンプ産業構築の順序のヒントがあるかもしれません。日本が自国でCBDを生産するようになるまでは、まだ相当な年数がかかることが予想されますが、ヘンプ食品とヘンプ繊維品種の研究とその拡大は、10年、20年など、そこまで時間がかからないように思えます。治療における大麻、つまり現在治験を進め始めたCBD製剤側は最先端の植物製剤医療として研究を強く推し進め、治療可能な疾患をどんどんと拡大させていきつつ、CBD産業は、行政主導でポジティブプロバガンダを広め、食品区分や機能性食品など、EUのヘンプ法やアメリカの新農業法案に倣い、食品としての安全性を担保し、カンナビノイド検査機関(検査のために助成金を出すなどサポートを厚く)を各主要都市にもうけ、金融機関の規制緩和(投資、融資)、広告出稿の規制緩和をいち早くスタートさせた後に、クリーンなCBD協会を立ち上げ、現民間CBD企業に市場を大きく動かしてもらいつつ、ヘンプ畑方面は、大学でのカンナビノイド研究は並行して進めつつも、製造は食品と繊維、そしてヘンプコスメに全振りで、世界のGXと戦っていく。国民のCBDの認知と利用が低価格で広まっていきつくした先に、自国CBD栽培が現れ、さらにお手頃でお手元に。といシナリオがどうかと、サウスダコタ州の軌跡が奇跡を呼ぶ。を読みながら、爽やかで心地よい初夏の風を感じながら、妄想にふけていた所です。それでは、みなさま、素敵なゴールデンウィークをお過ごしください。

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AUTHORこの記事をかいた人

HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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