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有望な抗がん剤としてのカンナビジオール(CBD)(総説)

 

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HTJ

CBDに関して、最も注目されている分野に「ガン」があると思います。

それに関して、日本臨床カンナビノイド学会が参考となる論文を翻訳して公開していますので、HTJでも共有させていただきます。

以下が、その概要です。興味のある方は、ぜひダウンロードして全文読んでみてください。

目次

概要

 

当学会にCBDと抗がんについてお問い合わせがあったので、レビュー論文「Cannabidiol (CBD) as a Promising Anti-Cancer Drug」の翻訳をしました。

2020年10月末現在の情報としてダウンロードしてご活用下さい。

 

近年、カンナビオール(CBD)や∆9-テトラヒドロカンナビノール(THC)などのカンナビノイドは、集中的な研究の対象となっており、その精査が行われています。カンナビノイドには、ヒトで生理的に生産され、研究室で合成され、主に大麻草から抽出されたものを含む、幅広い有機分子が含まれています。これらの有機分子は、その化学構造だけでなく、タンパク質の結合プロファイルにおいても類似性を共有しています。しかし、作用機序や臨床応用には顕著な違いがあり、このレビューでは簡単に比較対照していきます。CBDの作用機序とがん治療への応用の可能性については、このレビュー記事の主な焦点となります。

レビュー論文によると、がんの種類で、研究が進んでいる8つの部位は次の通り。

1.膠芽腫 2.乳房 3.肺 3.大腸 4.白血病・リンパ
5.前立腺 6.頸部 7.胃部 8.膵臓

まとめと結論(一部抜粋)

上記の大量の文献からも明らかなように、CBDは培養がん細胞株とマウス腫瘍モデルの両方で、さまざまな種類のがんに対して強力な抗増殖効果とプロアポトーシス効果を示しています。それに比べて、CBDは一般的に同じ組織/器官からの正常細胞に対して穏やかな効果を持っています。

抗腫瘍メカニズムは腫瘍の種類によって異なり、細胞周期停止からオートファジー、細胞死、またはそれらの組み合わせにまで及びます。さらに、CBDはまた、腫瘍の移動、浸潤、および新生血管化(図5A)を阻害することができ、CBDは腫瘍細胞に作用するだけでなく、例えば間葉系細胞および免疫細胞を調節することによって、腫瘍の微小環境にも影響を与えることができることを示唆しています。

CBDのエンドカンナビノイド受容体であるCB1とCB2、またはカルシウムチャネルのTRPVファミリーへの依存性も様々であり、CBDは複数の細胞標的を持っている可能性があることを示唆しています。腫瘍の種類によっては、CBDは細胞の酸化還元の恒常性を乱し、活性酸素とERストレスを劇的に増加させると考えられています。

メカニズム的には、CBDは細胞の酸化還元恒常性を破壊し、活性酸素とERストレスを急激に増加させ、細胞周期停止、オートファジー、細胞死を引き起こす可能性があると考えられています(図5A)。

今後の研究では、活性酸素、ERストレス、炎症などの異なるシグナル伝達経路の相互作用を明らかにすることが重要であり、CBD治療が腫瘍細胞と浸潤細胞の両方の細胞の恒常性を破壊し、がん細胞の死や腫瘍の移動、浸潤、転移、血管新生の阻害につながることをよりよく理解することが重要です。

CBDをがん治療薬として開発するための最終ステップは、大規模でよく設計された臨床試験を経ることであり、これは緊急に必要とされています。

原文
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33143283/

FileName:
ダウンロード:有望な抗がん剤としてのカンナビジオール(CBD)(2020)

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AUTHORこの記事をかいた人

2015年9月に設立された、カンナビノイドの臨床研究を目的とした学会。編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。
同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。

2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。

2019年7月時点で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員12名、 賛助個人会員23名、合計102名を有する。

http://cannabis.kenkyuukai.jp/

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