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ヘンプのTHC基準を1%に引き上げる法案が米上院に提出

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法案を提出したケンタッキー州選出のランド・ポール上院議員

ケンタッキー州選出のランド・ポール上院議員は、多くの国が高いTHC基準を採用しているという世界的なトレンドに同調し、米国の産業用大麻の許容THCレベルを0.3%から1.0%に引き上げる修正案を提案しました。

この提案は、「1946年・農業マーケティング法」で定められているヘンプを再定義するための改正法案である「2020年・ヘンプ経済動員計画法(HEMP法)」の一部です。

 

長年ヘンプ産業関係者は、現行のTHC基準である0.3%が低すぎる事に関して不満を漏らしてきました。

この必要以上に厳しい基準値を超えた「ホット」と呼ばれる作物は、破棄が義務付けられているため、農家は一年の労働の成果を全て失うリスクを取らなければヘンプ栽培に取り組めないという重大な問題を引き起こしており、この法案は、農家の生活を保護すると同時に、こうした参入障壁を撤廃し、ヘンプ産業拡大の起爆剤となる可能性があります。

また、ヘンプに含まれるCBD量はTHCに比例して上昇するため、より高いTHC基準の設定は、より高いCBD収量をも意味します。

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「農家への圧迫を減らす」

ポール議員は声明のなかで、この修正案は、全米最大の農業業界団体であるアメリカン・ファーム・ビューロー連合の支援を受けている事を表明し、「連邦政府が不必要に細かい官僚的運営で農家を圧迫するのを防ぐために、やるべき事がまだあります」と述べました。

下院は、12月7日の投票において、228-164票の大差でMORE法を可決し、すでに大麻の非犯罪化に同意しました。しかし、この大麻関連の有罪判決を取り消す法案は、民主党がジョージアでの次の特別選挙で2つの上院議席を獲得しない限り、残念ながら可決される可能性がほとんどありません。

米国の大麻コンサルタントであるリチャード・ローズ氏は、修正案の可決の可能性について、 「もし来月に上院がひっくり返れば、あっという間に可決される可能性もある。(近年)マリファナの合法化に取り組んできた経験を通して、彼らはヘンプに対して寛容になっているのかもしれない」と述べ、米国の政治が、こうした変化を受け入れる可能性が高いと指摘しました。

この法案はまた、THC含有率のテストを、現在行われている植物自体での検査から、消費者向け最終製品中の含有量検査に切り替える事が提案されており、以前ご紹介した、非科学的かつ恣意的な行政による弾圧も終わらせる事が可能です。

THC基準1.0%のトレンド

本質的にマリファナと産業用大麻の間に線を引いている、現在の0.3%の基準は、国際植物分類学連合に代わって1970年代に実施されたカナダの植物科学者Ernest SmallとArthur Cronquistによる研究に基づき、1987年に設定されました。その研究は、カンナビスサティバ(産業用麻)をカンナビスインディカ(マリファナ)から区別する基準として、大麻草の花の乾燥重量の0.3%をTHCの上限としましたが、この研究を発表したSmallでさえ、彼とクロンクイストの結論は恣意的であったことを、今では認めています。

以前は、0.3%THC基準は、広く世界中でほぼ共通する基準でしたが、今世紀のはじめに、オーストラリアのクイーンズランド州が1%THC基準を設定して慣例を破り、その後、南アフリカ、マラウイ、タイ、エクアドル、メキシコ、アルゼンチン、非EU加盟国のスイスなど、他の国々もそれに続き、欧州連合も最近0.2%から0.3%にTHC基準を引き上げました。

THC基準0.3%の問題

ポール上院議員は、「現在の規則は、作物の収穫にかかる時間、潜在的な試験の遅延の可能性、および農家が制御できない(天候などの)環境要因を予測していない」と述べました。

THCを0.3%の基準以下に維持することは、その検査を収穫期の15日間に限定されている米国の大麻農家にとって非常に大きな問題です。なぜなら、ヘンプに含まれるカンナビノイドの量は、日照りや高温などで簡単に上昇してしまうからです。

2020年・HEMP法案はまた、作物が1.0%THC種子から栽培されたことを示す種子証明書のコピーを、ヘンプの出荷時に同梱することを義務付けることにより、農家、加工業者、および輸送業者を保護します。

喜ぶケンタッキーの産業関係者

今回法案を提出したポール上院議員は、米国の立法府におけるヘンプ関連活動のリーダーで、故郷のケンタッキー州のヘンプ産業関係者と緊密に協力してきました。 彼は2005年にヘンプ法案を提案し始め、その後、同セクターの発展を促進するためのイニシアチブを繰り返し発表してきました。

ケンタッキー州のヘンプ産業関係者は、今回提出された修正案を歓迎しています。

ケンタッキー・ヘンプ・ワークス社のオーナーであるケイティ・モイヤー氏は、「HEMP法は、消費者の安全を確保しながら、麻の栽培者、加工業者、研究所にとって最も優先度の高い問題を改善する可能性を秘めています。」と述べました。

ケンタッキー・ヘンプ協会のテート・ホール会長は、「重要な州を跨いだビジネス要件を緩和することは、ヘンプ経済が繁栄する新たな時代に向けて切望されているステップです」と述べ、この法案がもたらす州外の市場への拡大に期待を明らかにしました。

 

 

Yosuke Koga

世界的なトレンドの乗って、ついにアメリカでもTHC基準を見直す動きが出てきました。

ケンタッキー州は、かつて全米一のヘンプの生産地だったという歴史もあり、ヘンプが解禁された一昨年末からは、過去の栄光を取り戻そうと積極的に働きかけています。

この法案が通過すれば、現在行われている不当な審査基準が撤廃され、より健全な栽培環境が整備されることとなり、この2年間で急激に拡大してきたアメリカでのヘンプ栽培は、一層爆発的に広がる事になるでしょう。

 

引用元:https://hemptoday.net/proposal-in-usa-would-lift-thc-barrier-for-hemp-to-full-1-0/

 

 

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Yosuke Kogaのアバター Yosuke Koga HTJ 編集長

1996年カリフォルニアで初の医療大麻が解禁。その5年後に現地へ移住し、医療大麻の家庭栽培、薬局への販売などの現場や、それを巡る法律や行政、そして難病、疾患に対し医療大麻を治療に使う患者さん達を「現場」で数多く見てきた、医療大麻のスペシャリスト。

10年間サンフランシスコに在住後、帰国し、医療機関でCBDオイルの啓蒙、販売に従事し、HTJのアドバイザー兼ライターとして参画。グリーンラッシュを黎明期から見続けてきた生き証人。

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