ACTの司法長官「大麻を善悪で無く健康問題で扱う」
オーストラリアの首都キャンベラと周辺地域(ACT)は、個人使用のための大麻の所有および栽培を認める法案を可決しました。
この法案は、来年1月31日に施行される予定です。
この決定によって、18歳以上のキャンベラ市民は50グラムの大麻の所持と、2株までの栽培が可能となります。
ACT(オーストラリアの首都キャンベラと周辺地域)の司法長官であるゴードン・ラムゼイ氏は、議会において、今は、大麻問題を「善悪」の問題ではなく、「健康問題」として扱うべき時だと語りました。
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彼は、大麻の所持と栽培は依然として連邦犯罪のままであり、起訴のリスクは「完全に排除されたわけではない」が、「実際には」法律は適用されないことを認めました。
ACTの「影の検事総長」であるジェレミーハンソン氏は議会に対し、自由党の反対派は、法案は「がさつ」で、多くの「悪い結果」につながる為、これを支持しないと語りました。
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彼は、今回の決定が、より多くの人々に大麻使用を奨励する事が予想されると述べ、「医療専門家はそれが精神病の増加率につながると警告しており、より多くの人々が薬物摂取時の運転で起訴されるだろう。そして、これは個人をより高いレベルのリスクにさらすだけでなく、警察は、この連邦法と矛盾しているという不明確な法的枠組みの下で働く事になるでしょう」とハンソン氏は述べました。
この法律の見直しは3年以内に実施される予定です。
ACTの保健大臣は法律施行時に、これを承認する必要があり、キャンベラの住民は今すぐに大麻を使用できる訳ではありません。
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今回の法案を提出した労働組合のマイケル・ペッターソン氏は、州法によって使用が免除または正当化された場合、連邦法の下でも大麻を使用するための反証は可能であると述べました。
「連邦法は、(地方には)相違があるという理解をもって書かれており、連邦政府が今回の決定と戦おうとする可能性は低いと思います」とペッターソン氏は述べました。
但し、連邦政府の強制力が残ったままの状態
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一方、連邦検事総長のクリスチャン・ポーター氏は、この法案はACTの問題だが、連邦法が適用された場合には法的強制力が残っていると述べました。
ACTのアンドリュー・バー広報担当官は、政府はACT司法当局および連邦検察局に相談したと語りました。
グレッグ・ハント連邦保健大臣のスポークスマンは、連邦法に係る問題は司法長官の問題であり、連邦政府は嗜好用大麻の合法化を支持しなかったと述べました。
この法案の改正案では、大麻を子供の手の届かないところに置き、大人が子供の近くで使用したり、コミュニティガーデンで栽培したりすることを禁止しています。
日本とは違う地方自治の姿、戦い続けるACT
地方政府によって採択された法律が連邦法と衝突したのは、これが初めてではありません。
2013年、首都キャンベラは「同性婚を合法化」し、連邦政府が高等裁判所に異議を申し立てた後、法律を取り消しました。
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それ以前には、1995年にノーザンテリトリー州は「自発的安楽死を合法化」し、後に連邦政府はこの法案を阻止する法律を立法化しました。
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こうしてみると、今回の決定も諸手を挙げて喜べるかは今のところ不明ですが、振り返ってみると大麻解禁の動きは、いつも地方から始まってきました。
グリーンラッシュの、そもそもの始まりはサンフランシスコ市の「大麻非犯罪化条例」と、それに続くカリフォルニア州の「医療大麻合法化」です。
これらは、いずれも連邦法に反していながらも受け入れられ、その後、数々の州がこれに続いて大麻を解禁していったのはご存知の通りです。
成熟した民主社会では、「顔の見えない中央政府の押し付け」ではなく、「自分たちで作った法律」が優先されるのです。
オーストラリアの首都が下した今回の英断も、良き結果として歴史に刻まれることを願います。