Sazi Foods社、創設者兼CEO、Lisa Newmann氏
食品業界のベテラン経営者であるLisa Newmann氏は、ヘンプシードを使ったスナックを開発している米国のスタートアップ企業、Sazi Foods社の創業者であり、CEOです。
また、食品業界での企業再生やスタートアップにも携わり、後に買収された国際的な業務用製パン会社に、高速で生産可能な製造設備を導入するなどのキャリアも持ちます。
Newmann氏は、ジュリア・チャイルド財団と、非営利団体アメリカン・インスティテュート・オブ・ワイン・アンド・フードから優秀賞を受賞しており、過去にはフード・イノベーション・サミットで、喫緊での持続可能な原料の必要性について講演を行うなどしています。
自然食品として最適なヘンプフード
HempToday(以下HT):現在の自然食品のトレンドと、その中でもヘンプが最適な理由を教えてください。
Lisa Newmann氏(以下LN):現在の自然食品のトレンドは、基礎栄養素以上の効果のある機能性食品への需要と、多作が可能で炭素回収能力が高いヘンプの様な持続可能な原料の調達の必要性、そして、これらの条件を満たして作られた秀逸な料理が求められています。
例えば、当社のクラッカーのレシピには小麦粉よりもヘンプシードが多く使われていますし、ヴィーガンクッキーのレシピにもヘンプシードの他にスパイスがたくさん使われていて、甘くて満足感のあるスナックを美味しく食べることができます。
ヘンプが持つ特性には、「水の利用が少なくて済む」「栄養価が高い」「廃棄物が殆ど出ない」という、ようやく重要性が認識されてきた3つの項目がすべて合致しているので、ヘンプは正に今の時代にぴったりなのです。
HT:現在のヘンプフードの市場はどのようになっていますか?例えば、明確なブランドリーダーはいますか?
LN:ヘンプを使った食材や食品部門のリーダーは、Manitoba Harvest社(23年の歴史を持つ家族経営の会社で、2018年にTilray社が買収)です。
ヘンプシードやヘンプシードパウダー、ヘンプシードオイルをメインに使って調味料や料理、菓子類などを作る食品業者はまだ僅かですが、弊社Saziでは、ヘンプシードは自社製品の基盤となっています。
既にヘンプを使った製品をいくつか開発し、身近な食品にヘンプシードやヘンプシードパウダーを加えて栄養面での強化を図っています。
HT:一般の消費者の間では、ヘンプシードを食品としてどのように認識しているのでしょうか?
LN:私たちは、ヘンプの認知度について簡単な調査を行いました。その結果、ほとんどの消費者は、ヘンプをマリファナか、ロープ、グリーンで健康的な物、の3つのうちのどれかだと考えていることが分かりました。
この調査結果を踏まえ、ヘンプ分野の啓蒙と主導していく機会を得ることができた私たちは、今後のビジョンと戦略として、ヘンプという植物を明瞭化し、最も高い可能性を持つ植物として、販売促進することを話し合っています。
HT:マーケティング戦略と、その戦略を成功させるためにSazi社がAIをどのように活用されているかについてお聞かせください。
LN:私たちは、完成した製品を販売することに焦点を当てるのではなく、私たちのミッションや、真摯な価値観と理念をストーリーとして公開することで、消費者を惹きつけ、購買行動に繋げることを目的としています。
私たちが提供するものは、環境、健康、食材、味覚に関連するものです。これらにはAIも活用しながら消費市場の理解を深め、学んだことを顧客の獲得と維持に応用しています。
今後の課題と展望
HT:御社のプランを遂行するためには、他に何が必要ですか?
LN:機器による製品テスト、パッケージング、ウェブサイトのEコマース導入、そしてSEOやアナリティクスなどのマーケティングエンジンの活用です。
製品は、クッキー、クラッカー、チップス、チョコレートがそれぞれ3種類ずつあります。これらの製品の開発は完了しており、2社のメーカーと契約しています。
彼らマーケティングパートナーとは、今後の展開に向けて準備を進めています。Sazi Foodsの包括的な展開には、戦略的パートナーからの資金提供も必要不可欠です。
HT:その理想的な戦略的パートナーとは、どのような人物なのでしょうか?また、そのパートナーに期待することは何ですか?
LN:完璧な戦略的パートナーとは、強力な食材としてのヘンプの将来性と重要性について、同じように断固としたビジョンを持ったメーカー、マーケティング会社、金融機関や、Sazi Foodsの中核をなす経験豊かな人材やリソースを評価してくださる企業、そして資金面でも計画を加速させてくれる企業です。
HT:MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)のテストに12〜18ヶ月掛かるとしています。そのテストから得られる重要な指標は何ですか?
LN:重要な指標は、1製品あたりのコスト、1製品あたりの受注額、(そしてこの2つの相関性)、購入まで至ったコンバージョン率、再注文率、消費者にとっての生涯価値の推定などです。
そして、これらの要素を使っていかにサブスクリプションビジネスを構築するかが、成長を確固たるものにし、会社や製品を進化させていく上で、私たちに答えを示してくれるものだと考えています。
HT:最近の製品開発で革新的なものは何ですか?
LN:アレルギー物質に敏感なメーカーが増え、植物性食品や機能性食品の重要性が認識されるようになり、それらの研究開発と同時に、古来の穀物や果物、ナッツ、種子の研究を続けています。
しかし、残念なことに、今でもトレンドとなっているのは「リアル・フード」と呼ばれる既存の食品です。しかし私達はリアル・フードがトレンドである必要はないと考えています。
なぜなら私たちの調査では、ヘンプフードの分野で、まだ大きなイノベーションが起きていないからです。今こそ、ヘンプフードによってトレンドを変えるチャンスなのです!
引用元;https://hemptoday.net/positioning-hemp-as-a-food-powerhouse-is-key-to-u-s-startups-strategy/