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このGRAS(Generally Recognized As Safe)と呼ばれる指定を受けていない製品は、販売に先駆けてFDAによるレビューと認証の取得が義務付けられています。実は、FDAがCBD販売業社に警告を出すのは、これが初めてではありません。
以前に発せられた警告では、「癌などの深刻な疾患を予防、緩和、または治療する」といった実証されていない治療効果を表示している悪質な業者に対して改正を促す内容でした。
これは明らかに行き過ぎたマーケティングに釘を刺したもので、消費者保護の観点から考えれば、役所の対応としては頷けます。それも2年前の事で、その後は御存知のとおりCBD市場は爆発的に拡大し、米国でのCBDの認知度も飛躍的に上がり、数えきれないほどのCBD製品が世に送り出されてきました。
当然、CBD使用者数もうなぎ上りですが、それに伴って健康被害が多数報告されているのかと言えば、全くそのような事はありません。しかし、そうした社会的なニーズの高まりにも拘らず、今回もまたこのような警告を発してきた事は、FDAの消費者保護の義務感と同時に、CBDに対する厳しい見方を反映していると思われます。
FDAの承認は、エピディオレックスのみ
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この声明で、FDAは、以下のように発表しました。
公衆を保護し、イノベーションを促進し、消費者の安心を獲得するという私たちの使命に沿って、CBDに関するこの包括的なアプローチは、FDAが規制する他の物質についてとる対応と何ら変わりません。
市場にある無数のCBD製品(その多くは違法)が、FDAによる評価で安全であると判断されている、またはCBDを試しても「害がない」と、誤って考える人々がいることを懸念しています。
2種類の小児てんかんの治療に承認された1つの処方薬(エピディオレックス)を除いて、これらの製品はFDAによって承認されておらず、農薬や重金属などの汚染物質を含む製品のレポートなど、CBDの安全性に関する多くの疑問が残っていることを明確にしたいのです。そしてそこには、考慮するべき本当のリスクがあります。
私たちはCBDに対する公共の大きな関心を認識しており、これらの製品の科学、安全性、品質に関する知識のギャップを埋めるために、業界と協力する必要があります。
CBDの毒性に関する多くの未回答の疑問とデータのギャップが存在し、利用可能なデータのいくつかはCBDの潜在的な害について深刻な懸念を提起しています。改訂版の消費者アップデートでは、潜在的な肝障害、他の薬物との相互作用、眠気、下痢、気分の変化など、CBD製品に関連する特定の安全性の懸念について概説しています。
さらに、動物の研究では、CBDが精巣と精子の発達と機能を妨害し、テストステロンレベルを低下させ、男性の性行動を損なうことが示されています。 CBDの累積(長期)使用や、子供や妊娠中または授乳中の女性などに対するCBDの影響についての疑問も残っています。
FD&C法に違反する宣伝方法だった
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CBDは、オイル、カプセル、シロップ、チョコレートバーや紅茶などの食品、局所ローションやクリームなど、さまざまな製品タイプで販売されています。
警告状に概説されているように、以下の特定の企業は、製品のWebページ、オンラインストア、ソーシャルメディアを使用して、疾病の治療やその他の治療用途を含むCBD製品のマーケティングをFD&C法に違反する方法で行い、CBD製品を販売しています。
その他の違反には、栄養補助食品としてのCBD製品の販売や、ヒトおよび動物の食品へのCBDの添加が含まれます。
警告状を受け取っている企業は次のとおりです。
- Koi CBD LLC
- Pink Collections
- Noli oil
- Natural Native LLC
- Whole Leaf Organics LLC
- Infinite CBD / Infinite Product Company LLLP
- Apex Hemp Oil LLC
- Bella Rose Labs
- Sunflora Inc. / Your CBD Store
- Curapure / Healthy Hemp Strategies LLC
- Private I Salon LLC
- Plant Organix / Organix Industries Inc.
- Red Pill Medical Inc.
- Sabai Ventures Ltd.
- Daddy Burt LLC / Daddy Burt Hemp Co.
過去にもFD&C法違反企業に警告書が
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FDAは以前、州間取引でCBD製品を違法に販売している他の企業に、癌などの深刻な疾患を予防、診断、緩和、または治療するという効用を謳うことはFD&C法に違反するという警告書を送りました。
これらの製品の一部は、CBDが食品に添加されいるため更に違反しており、CBDを含む製品が栄養補助食品の定義を満たさないにもかかわらず、一部の製品は栄養補助食品としても販売されました。
FD&C法の下では、病気の治療を目的とする製品、または治療または医療用途を目的とする製品、および人間または動物の体の構造または機能に影響を与えることを目的とする製品(食品以外)は、薬物とみなされます。
FDAは、重度のてんかんの治療を目的とした、1つの処方薬以外のCBD製品を承認していません。他の市販されているCBD製品の情報は非常に限られており、FDA承認製品とは組成が異なる可能性があり、身体への潜在的な悪影響については評価されていません。
FDAによって承認された医薬品とは異なり、これらの未承認の製品が意図した用途に有効かどうか、適切な投与量は何か、FDAが承認した医薬品と相互作用する方法、または危険な副作用があるかどうかについてのFDAによる評価はなされておりません。
さらに、未承認のCBD医薬品の製造プロセスは、ヒトまたは動物の医薬品承認プロセスの一環としてFDAのレビューの対象となっていません。
消費者は、CBD製品に関連する根拠のない宣伝文句のために、適切な診断、治療、支持療法などの重要な医療を受けることを延期することも考えられます。そのため、消費者は、既存の承認された治療オプションを使用して疾患を治療する最良の方法について医療専門家と話すことが重要です。
さらに、警告状に記載されている製品の一部は、その他の法的および公衆衛生上の懸念を引き起こしています。
・一部の製品は、成人と比較してCBDなどの物質を吸収、代謝、循環、排泄する能力の違いにより有害反応のリスクが高い可能性のある脆弱なグループである幼児や子供向けに販売されています。
・一部の製品は、CBDが添加された食品です。 FD&C法の下では、CBDなどの特定の薬物成分が添加された人間または動物向けの食品を州間取引に導入することは違法です。さらに、FDAは、CBDが人間または動物向け食品での使用に関して適格な専門家の間でGRASであると結論付ける根拠を認識していません。また、ヒト用食品または動物向け食品の成分としてのCBDの使用を許可する食品添加物規制はありません。また、代理店は、CBDに適用される食品添加物の定義のその他の免除を認識していません。したがって、CBDは未承認の食品添加物であり、ヒトまたは動物の食品での使用は、医薬品原料としてのステータスとは無関係の理由でFD&C法に違反しています。
・一部の製品は栄養補助食品として販売されています。ただし、CBD製品は、FD&C法に基づく栄養補助食品の定義を満たしていないため、栄養補助食品として扱うことはできません。
・Apex Hemp Oil LLCへの警告書に記載されている製品の1つは、食物を生産する動物向けです。当局は、安全なCBD残留レベルを確立するデータが不足しているため、CBDを消費している動物に由来する食品(肉、牛乳、卵など)の安全性を引き続き懸念しています。
FDAは、15営業日以内に違反を修正する方法を記載した回答を企業に要求しました。違反を速やかに修正しない場合、製品の差押えや差止命令などの法的措置が取られる場合があります。
FDAは、人間および動物の医療専門家や消費者が、これらの製品または類似の製品に関連する副作用を機関のMedWatchプログラムに報告することを奨励しています。
FDAは迅速なCBD規制に取り組む気がない
今年退任したスコット・ゴットリーブ前FDA長官は、CBDに対して極めて懐疑的でした。彼は先日、自身のツイッターで「CBDは安全では無く、その効用の大部分が証明されていない」と発言しています。
また彼は同日、「FDAはサプリメントから取り掛かり、製造基準、純度、含有物の最低基準量などを確定するまでの間に、製造業社に低濃度CBDの安全性を証明するという重荷を負わせる。そして基準を満たさない製品を市場から一掃する」と、極めて強い語気で語っています。
彼の後任として指名されいているスティーブン・ハーン教授は、指名を受けるにあたっての聴聞会でCBDについて意見を求められた際に、CBDの効用に一定の理解を示した上で、「研究によって解明しなければならない未解決の問題がある」と述べ、特に「適切な摂取量」と「長期的な健康への影響」を挙げています。
この二つは、どちらも証明が非常に難しく、かつ時間がかかる問題です。なぜなら、CBDを代謝する能力は個人によって異なり、「適切な摂取量」は、人によってバラバラだからです。これは、他の薬剤に関しても同じように言える事なのですが、なぜFDAがCBDに限ってこの問題に拘るのかは疑問です。
また、「長期的な健康への影響」を調査するためには、文字通り長期間追跡調査を行う必要があり、この問題を持ち出してきた事は、FDAは、早急にCBD規制に取り組む気がない事を物語っています。
この警告に併せて、FDAは自身のホームページ内の「CBDを含む大麻由来製品に関する情報」をアップデートしました。こちらもまた、業界にとって喜ばしい内容ではありませんので、追ってお伝えしたいと思います。
今回は15社に対して警告が発せられた訳ですが、FDAは引き続きこれを継続していくと言っています。
しかし、この決定は明らかにWHO(世界保健機関)に提出された事前審査で報告されている「CBDは高い忍容性があり安全である」という見解や、FDA自身がCBDを含有するエピディオレックスを薬品として認証した事実とも矛盾しています。
こうした、あからさまに科学に反する対応は、このところ取り沙汰されているUSDAのTHC規制によく似ています。この二つの出来事は、どちらもヘンプ産業の成長を阻害するものであり、それによって利を得る勢力は同じなのです。
消費者保護の義務感と共に、別の理由も見え隠れするFDAのCBD規制遅延問題は、ヘンプビジネスの今後を考えるうえで非常に重要な問題と言えそうです。