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市場規模拡がる3Dプリンターの材料にヘンプ活用

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3Dプリンターとヘンプの親和性

近ごろ多方面で話題のヘンプ(産業用大麻)ですが、本日の記事は製造業、建築業、医療分野などの方に読んで頂きたいレポートです。

ヘンプは数千年もの長きにわたって人類の暮らしを支えてきたにも関わらず、直近の70年間は非常に悪いイメージを刷り込まれてきました。

しかしながら、近年、この非常に有用で多用途な作物の評価は、肯定的なものに戻ってきました。

法律を改正し、この植物を日常生活に取り入れている国や地域が増えています。ヘンプは環境にやさしい材料であるため、多くの環境問題の解決策となる可能性があります。

ヘンプは、栽培に必要な水の消費量や、使用する殺虫剤の削減など、多くの利点があり、バイオ燃料および織物など多くのものに使用することができます。

そして、この植物のあまり知られていない用途として、3Dプリンタのフィラメントがあります。

ヘンプの医学的用途、環境的利点、そして持続可能性のポテンシャルについて様々な議論がなされており、生分解性プラスチックの原料となるヘンプから、3Dプリンターフィラメントが製品として現れるのは当然のことと言えるでしょう。

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製造業のイノベーションを加速

製品製造工程での廃棄物を削減し、プロセスをスピードアップし、エネルギー使用量を減らすことで環境負荷を低減するなど、3Dプリントは、製造業でのイノベーションを加速しています。

特に、これまでは熟練の職人の手に委ねられてきた、製品の雛形の製作などには導入が進むでしょう。

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近年の3Dプリンターの進化は目覚ましいものがありますが、それでもミスや不良プリントは、時々起こります。

従来のプラスチックを使用する場合、こうしたミスプリントは、多くの廃棄物を蓄積する可能性があります

これに対する解決策は、PLA(バイオマス由来のプラスチック)およびヘンプなどの生分解性またはリサイクル可能な材料で印刷することです

フィラメントの材料としてヘンプと組み合わされるPLA(バイオマス由来のプラスチック)は、それ自体が既に生分解性で、サトウキビやトウモロコシデンプンなどの材料から生産されています。

このPLAとヘンプをハイブリッド材料に組み合わせることにより、3Dプリンターのユーザーに新しい選択肢が増えました。

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ヘンプフィラメントが選ばれる理由

ヘンプ・フィラメントの製造方法は、非常にシンプルです。

最も一般的には、まずポリマーベース(プラスチックを成形する上での「下地」もしくは「つなぎ」のような物)として、PLA(バイオマス由来のプラスチック)などの材料があり、それに、ヘンプ繊維を細かい粒子に粉砕したものを混合します。

このプロセスは、多くの他のハイブリッドフィラメントが製造されるのと同じ工程です。

しかし、多くの場合、環境負荷が低い生分解性という特性(土に還り、環境負荷が低い。逆に、石油由来製品は、この生分解性能力が無いため、ほぼ永遠に土に還らない、つまり石油製品は環境負荷が高いと言えます。)を完全に維持するために、ヘンプ・フィラメントは色を追加せずに作られており、それが特別な素材感を製品に与えています。

こうした環境性能の高さや、独特の質感を考慮すれば、ヘンプフィラメントに対する需要には疑問の余地がありません。

農業法の変革によってヘンプ製品の多様化が加速

昨年、トランプ大統領は2018年農業法に署名しました。これによってヘンプは麻薬の汚名を返上し、他の農産物と同様に扱われることになりました。その栽培規制と管理は、これまでのDEA(麻薬取締局)の管轄から離れ、各州に委ねられています。

こうした変化を受け、大学や州の農学部が多様な目的のためにヘンプの栽培を開始し、一般の農家の参入も始まり、市場の開拓を可能にしました。

昨年1年間だけで、少なくとも38の州が、法律の明確化から新しいライセンス要件およびプログラムの確立までのすべてを対象とする、大麻産業に関連する法律を検討しました。

このうち、少なくとも5州は、大麻の研究および産業用試験栽培を確立するための法律を制定しています。

日本企業も参画、ヘンプ3Dプリンター関連会社

すでに、独自のヘンプ3Dプリンターフィラメントを開発している企業が数社あります。
そのひとつが、3D4MAKERSです。

この製品は、同社のPLA製品よりも耐衝撃性に優れ、無臭だといいます。彼らは、フィラメントをリサイクルまたはコンポスト化する能力を有する生分解性プラスチックの市場向けに、それらの製品を開発しました。(現在は、商品としてラインナップは確認できません)

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3D4makers社のフィラメントを使用した作品

3Dfuel社もヘンプ・フィラメントを生産しています。同社は、環境に配慮した複合材料のシリーズを発売しました。それらは、4種類の原材料にちなんだシリーズで、

  • Wound Up:コーヒーフィラメント
  • Buzzed:ビールフィラメント
  • Landfillament:ゴミフィラメント
  • Entwined:ヘンプフィラメントの4種類のラインナップです。

同社は、こうした廃棄物やIngeo PLAを使用して、機能的で持続可能な3Dプリントを提供しています。

そして、3Dfuel社は、ヘンプ・フィラメントの改良版を発売しました。v2バージョンでは、ヘンプ材料の粒子をより小さくしました。

より微細な粒子は、フィラメントに使用されるヘンプ繊維の含有量の増加を可能にし、製品に含まれている目に見えるヘンプ繊維が、独特の素材感を作り出します。

同様に、自然の素材を前面に押し出している新しい企業は、Kanesis社です。このイタリアの企業は、製造業向けに設計された天然素材だけにこだわり、環境負荷を低減する、こうした製品の持つあらゆる利点を提供しています。

同社の製品の取り扱いは、日本ではHorimasa Bio Plastics社が行なっています。

Hemp3Dプリンタフィラメントの使い方

大部分のヘンプ3Dプリンターフィラメントの一般的な特性は、PLAフィラメントに非常に似ています。ただし、メーカーによっては、PLAよりも10℃低い温度でプリントできる製品を提供しており、温度管理が重要な3Dプリントにおいて、使用しやすい場合もあります。

また、多くの場合ヘンプフィラメントは無臭であり、より小さな空間での室内使用に適しています。また、反りが少なく、プリント時に加熱ベッドが不要または低い温度で可能となります。

ヘンプ3Dプリンターフィラメントは、印刷が容易であり、PLAと同様に機能するので、様々な方法で使用することができますが、使用の容易さに加えて、生分解性の特性を考慮すると、製品のプロトタイプ製作に最適なようです。

着色の必要性が無いプロジェクトでの使用こそが、生分解性の特性を100%活かせる事は間違いありませんが、着色することも可能です。ヘンプフィラメントは、現時点ではハイブリッドフィラメントですが、基本的には従来のPLAと同じ質感ではありません。

以下、価格は、製品ごとに大きな開きがあるようです。

・Kanesis:HBPとWeedフィラメント500g約37ドルで販売
・3D4MAKERS:750g約48ドルで、ほぼ同じkg価格です(現在は販売休止)。
・3Dfuel社:entwinedが500g45,99ドルで販売

フィラメント中の実際の植物材料のパーセンテージと共に、生産者によって価格は開きがあります。

3Dfuel社は、ヘンプ3Dプリンターフィラメントのコンセプトを紹介するための短いビデオをアップしています。

進歩のめざましい3Dプリント業界ですが、既存・新設企業ともに今後も製品の開発・改善に取り組んでいきます。貴社のプリンターにも、環境に優しく無臭のヘンプ3Dプリンターフィラメントはいかがでしょうか。

すでにバイオフィラメントは市場に出回っていますが、それらはまだ出発点にすぎません。これから2020年に向けて、市場規模は210億ドル(約2,500億円)を上回ることが予想されてます。

引用元:https://www.3dnatives.com/en/hemp-3d-printer-filament-sustainable-alternative-200920184/

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AUTHORこの記事をかいた人

Yosuke Kogaのアバター Yosuke Koga HTJ 編集長

1996年カリフォルニアで初の医療大麻が解禁。その5年後に現地へ移住し、医療大麻の家庭栽培、薬局への販売などの現場や、それを巡る法律や行政、そして難病、疾患に対し医療大麻を治療に使う患者さん達を「現場」で数多く見てきた、医療大麻のスペシャリスト。

10年間サンフランシスコに在住後、帰国し、医療機関でCBDオイルの啓蒙、販売に従事し、HTJのアドバイザー兼ライターとして参画。グリーンラッシュを黎明期から見続けてきた生き証人。

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