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タバコ依存からの脱却、ヘンプ産業で挑むジンバブエの革新成長戦略

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1,690万ドル規模の農業産業パークプロジェクト

ジンバブエの農業部門を革新することを目指す1,690万ドル規模の「ゴロモンジ農業産業パーク」プロジェクトには、産業用ヘンプおよび医療用大麻の生産に大きな焦点が置かれています。このプロジェクトは特定経済区(SEZ)に指定されており、先進的な農業技術、農業加工施設、高付加価値作物の栽培を組み合わせ、経済成長と雇用創出を促進することを目標としています。

この施設は、ハラレの東40キロに位置するゴロモンジ地区の広大な1,025ヘクタールの敷地に建設されます。この農業産業パークは、農業の現代化と農地の価値向上を図る政府の広範な戦略の一環です。

産業用ヘンプおよび医療用大麻の栽培は、園芸やハイテク農業を含むプロジェクト活動の中心的な要素となる見込みです。

研究開発への戦略的投資により、ヘンプ産業はジンバブエの農業革新において重要な役割を果たす可能性があります。

三段階の展開計画

この開発プロジェクトは3段階で進められ、6年間にわたって2.99百万ドル、4.87百万ドル、9.02百万ドルの投資が必要とされています。これらの資金は、地域の基幹インフラ整備に充てられ、水供給システム、スマートシステム、農産物加工施設などが含まれています。これらの施設では、原料の農産物を加工し、国内市場および輸出市場向けの完成品に変換する計画です。

ゴロモンジ農業産業パークは、国際投資家の注目を集めており、アラブ首長国連邦の企業を含む複数の組織が専門知識の提供や資金援助に関心を示しています。このプロジェクトは、2024年に開催された南部アフリカ開発共同体(SADC)工業化週間で紹介され、同地域の農業部門における変革的な取り組みとして評価されました。

この産業パークは、ジンバブエの経済変革アジェンダの重要な要素として、農業生産性の向上、食料安全保障の強化、数千人の雇用創出を目指しています。また、産業用ヘンプおよび医療用大麻の導入により、繊維、バイオプラスチック、医薬品など多岐にわたるヘンプ関連製品の国際市場に参入する足がかりを提供します。

資金調達の課題

現在、プロジェクトは実施段階にあり、フィージビリティスタディを完了したうえで、建設および稼働開始に向けて追加の投資を積極的に募っています。付加価値創出と産業化に焦点を当てたゴロモンジ農業産業パークは、アフリカ全体の農業産業開発モデルとして機能することを目指しています。

ジンバブエのヘンプ産業は有望ではあるものの、まだ発展途上にあり、多くの課題に直面しています。2019年に制定された産業用ヘンプ規制は、合法的な栽培と生産の道を開きましたが、種子供給の不足、高い栽培コスト、不安定な市場環境などの問題により、産業の成長が阻まれています。その結果、一部の農家は以前に締結した輸出契約を履行できなくなる事態も生じています。

また、大麻栽培の実践における「知識の不足」も進展を妨げる要因となっています。特に、小規模農家は業界の要件を理解し適応するための資源や専門知識を欠いているため、課題を克服するのが難しい状況です。

革新の重要性

国内で入手可能な種子が不足しているため、農家は高価な輸入種子に頼らざるを得ず、生産コストがさらに増加しています。そのため、ヘンプ製品の多様化や革新、特にヘンプシガレットやCBDオイルの幅広い用途の開発は、産業基盤を確立するために不可欠な取り組みとされています。

ジンバブエ政府は2019年に産業用ヘンプを合法化し、CBDの国内市場を2020年に解禁することで産業の体制を整え始めました。さらに、2022年に施行された刑法改正法案により、ヘンプがマリファナとは別物であると法的に明確化され、生産者にとって法的な不透明さが解消されました。しかし、専門家は、ジンバブエの気候や条件に適したヘンプ品種を開発する取り組みが進行中であるため、産業の成長は依然として遅れていると指摘しています。

また、輸出の20%を占めるタバコに依存してきたジンバブエは、低迷するタバコ産業の代替品として産業用ヘンプに期待を寄せています。しかし、CBD生産にとどまらず、食品、繊維、その他の工業製品といった多様な用途を開拓することが、産業のポテンシャルを最大限に引き出すために必要とされています。

編集部あとがき

 今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。

1. 産業用ヘンプを活用した経済再生の可能
ジンバブエ政府は、農業および輸出経済の柱であるタバコ産業の代替として、産業用ヘンプを重要視しています。特にヘンプは繊維、食品、CBDオイルなど幅広い用途を持つことから、新しい市場開拓と産業成長を促進する切り札と見なされています。

2. 法整備と政策の前進
2019年の産業用ヘンプ合法化と2020年のCBD市場解禁、2022年の刑法改正によって法的枠組みが整備され、規制の透明性が向上しました。しかし、まだ十分な進展が見られず、さらなる制度強化と政策の整備が必要です。

3. 生産現場の課題と持続可能な解決策の必要性
種子の入手難や輸入コストの上昇により、特に小規模農家は生産コストの高騰に苦しんでいます。国内に適した品種の開発や製品の多様化が求められており、ヘンプを活用した革新的な製品開発が成長のカギです。

4. 持続可能な農業と市場拡大への期待
高度な農業技術と製品の付加価値化を取り入れた「Goromonzi Agro-Industrial Park」プロジェクトは、国内外の投資家から注目を集めています。このプロジェクトをモデルケースとし、ジンバブエがアフリカ全体の農業工業モデルとなることが期待されています。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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