5,500万ドル相当のヘンプシード製品を米国へ輸出
カナダのヘンプ生産者は、2024年も米国市場での優位を保ち、総額およそ5,500万ドル相当のヘンプシード関連製品を北の国境を越えて輸出したと、米国農務省(USDA)が発表しました。この総額には、食品用シード、オイルケーキ、ヘンプシードオイルが含まれ、2023年の輸入額と比較して横ばいとなりました。
USDAの最終報告書によると、カナダの生産者は食品用シード4,620万ドル、オイルケーキ590万ドル、ヘンプシードオイル330万ドルを輸出しており、その大部分(5,200万ドル)がマニトバ州からの供給でした。
一方、2023年の米国内のヘンプ穀物生産額はわずか230万ドルにとどまっており、別のUSDA国内生産報告書(NASS)で示されています。
2024年の米国の食品用シード輸入総額は4,790万ドルに達し、カナダが圧倒的なシェアを占めています。他の主要な輸入国は以下の通りです:
• ルーマニア:55万3,000ドル
• 中国:43万4,000ドル
• フランス:27万1,000ドル
• パラグアイ:25万ドル
オランダが米国向けヘンプ播種用種子の輸出で首位
•フランス:48万3,750ドル
•中国:24万4,590ドル
•オーストラリア:23万9,915ドル
分析の限界
昨年は輸入レポートが導入されてから2年目となり、これらは毎週発行されています。米国農務省(USDA)の農業マーケティングサービス(Agricultural Marketing Service)がまとめたこれらのレポートは、輸入されるヘンプ関連商品のみを対象とした初の政府データ分析です。しかし、ヘンプフラワー、ハード(木質芯)、およびテクニカルファイバー(産業用繊維)は含まれていません。
これらのレポートは輸入データに加え、全米および地域別にホールシード、殻むきシード、プロテインパウダー、ヘンプシードオイルなど種子ベース製品の小売広告価格も追跡しています。
米国へのヘンプ輸入量はごく少量ですが、業界のビジネス関係がどのように世界的に形成されつつあるかを示唆している可能性があります。
これらの週次レポートは、USDAが2年前に開始した年次レポート「National Hemp Report(全米ヘンプレポート)」を補完するものです。この年次レポートは、全米の2万社以上のヘンプ生産者を対象に作付面積、収穫量、作物価値を調査し、2023年の国内生産ヘンプの総価値を2億5,800万ドルと報告しました。内訳は、フラワーが2億4,100万ドル、ファイバーが1,160万ドル、穀物が230万ドルです。
編集部あとがき
今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。
1.米国市場におけるカナダ産ヘンプ製品の強い影響力
2024年の米国におけるヘンプシード製品の輸入総額は約5,500万ドルに達し、その大半をカナダが占めています。特にマニトバ州は主要供給元となっており、国内生産の市場規模がわずか230万ドルと比較すると、輸入依存が際立っています。これは、米国内での生産体制が未成熟である現状を示唆しています。
2.輸入製品の種類と供給国の多様性
ヘンプ播種用種子、繊維製品、紐など、多岐にわたる製品が輸入されています。オランダが播種用種子の輸出で大きなシェアを占める一方、繊維製品や紐は中国、フィリピンが主要供給国です。これにより、製品ごとに異なるサプライチェーンの特性が浮き彫りになっています。
3.輸入レポートと業界動向の透明性向上
米国農務省が開始した輸入レポートは、業界の透明性を高める重要な取り組みです。しかし、分析には限界があり、特定製品(ヘンプフラワー、ハード、産業用繊維など)は対象外です。このレポートは市場規模や動向を示す一方で、ヘンプ産業のさらなるデータ収集と標準化が必要です。
4.国内生産の課題と可能性
2023年の国内生産ヘンプの総価値は2億5,800万ドルで、そのほとんどをフラワーが占めています。しかし、グレインの生産額は低く、カナダからの輸入品が圧倒的優位にあります。今後、米国内での生産体制強化が進むことで、輸入依存から脱却する可能性がありますが、現状では課題が多い状況です。