ヘンプ種子廃棄物を採卵鶏の飼料として承認
ヘンプオイルの製造過程で生じる廃棄物が、長年にわたる米国関係者の努力の末、農業業界の主要団体により採卵鶏の飼料として承認されました。
アメリカ飼料管理官協会(AAFCO)は、昨日、テキサス州サンアントニオで開催されている年次会議でヘンプ種子ミール(ヘンプシードケーキとも呼ばれる)に関する最終的な定義を承認しました。
このヘンプ種子ミールは、年内にAAFCOの公式出版物に暫定的に掲載される予定です。この出版物は、飼料業界における成分、ラベル表示、製造に関連する定義や規制、手続きの基盤となる重要な文書です。この暫定掲載により、個々の州が商業採用に向けて進めることが可能になります。
反対意見を却下
ヘンプ種子ミールは、ヘンプ種子を低温圧搾して食用油を抽出した後に残る物質です。このミールは高タンパク質、高繊維、そして栄養豊富な飼料として、動物の食事に有用であると支持者たちは主張しています。
今回の承認により、米国のヘンプ飼料支持者たちは、カナダヘンプ貿易連盟(CHTA)やヨーロッパ産業ヘンプ協会(EIHA)による異なる基準を求める意見を退けることに成功しました。
AAFCOによって承認されたヘンプ種子ミールの定義では、総THC濃度を2 ppm(パーツパーミリオン)、総CBD濃度を20 ppmに制限しています。一方、EIHAはヨーロッパでTHC濃度を5 ppm、CBD濃度には制限を設けないことを求めており、CHTAはカナダの既存基準であるTHC濃度10 ppm、CBD濃度35 ppmを推奨していました。
懸念を却下
「この登録を進めることは、ヨーロッパやその他の重要なグローバル市場において、商業的に実現可能なヘンプ家畜飼料成分の登録を複雑にする前例を作るだろう」と、EIHAは今週のAAFCO会議に先立つ書簡で主張しましたが、受け入れられませんでした。
カナダヘンプ貿易連盟(CHTA)は、カナダの飼料を承認するカナダ食品検査庁(CFIA)が「カナダのデータパッケージを検討する際に、AAFCOが承認した定義で示されたカンナビノイド制限の慎重な前例を採用する可能性がある」と懸念を表明しました。
米国の団体である全米ヘンプ栽培者協会(NHGA)も、THC濃度を10 ppmに制限し、CBD濃度には制限を設けないことを推奨しました。
ヘンプフィードコアリション(HFC)および全米ヘンプ協会(NHA)など、米国でヘンプ種子ミールの定義を推進してきた団体は、EIHAやCHTAがこの問題に意見を述べたのは自国市場を保護するためだと主張しています。HFCは、将来的にTHCおよびCBDレベルの調整が可能であるとも示唆しました。
AAFCOは主に動物飼料やペットフードを規制する州の当局者で構成された任意団体であり、直接の規制機関ではありませんが、その立法および規制に関する指針は連邦および州の規則制定者によって広く採用されています。同団体の主な活動には、成分やペットフードの栄養要件に関する定義策定が含まれます。
禁止の壁を越える
今回の組織による肯定的な投票は、ヘンプがマリファナと誤って結び付けられてきた歴史的な禁止措置からヘンプシードミールを遠ざけ、農業や食品安全機関が懸念していた「卵を通じた微量のTHCの人間への移行」という問題を克服するものです。
最終承認は、米国食品医薬品局(FDA)の獣医医薬品センター(CVM)が今年1月にAAFCOの成分定義委員会によって提案されたヘンプシードミールの定義に関する文言を承認したことを受けたものです。CVMによる検証は、ヘンプシードミールが安全であり、潜在的なカンナビノイド汚染物質が人間の食品製品に移行しないことをフォーミュレーターや飼料工場に保証するものです。
編集部あとがき
今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。
1. ヘンプシードミールの飼料としての承認
AAFCOがヘンプシードミールを家禽用飼料として正式に承認したことで、ヘンプ産業の成長に新たな可能性が生まれました。この承認により、各州は商業採用を進めることが可能になり、長年の規制障壁が克服されました。
2. 業界間の国際的な対立
アメリカの業界団体とカナダ、ヨーロッパのヘンプ関連団体との間で、THCとCBDの許容量に関する意見の相違が見られました。AAFCOがアメリカ独自の基準(THC 2ppm、CBD 20ppm)を採用したことで、国際市場への影響が議論されています。
3. 食品安全への配慮と規制の進展
FDAのCVMによる検証を経て、THCやCBDが卵や人間の食品に移行しないことが保証されました。この科学的根拠に基づく承認は、食品安全への懸念を払拭し、消費者信頼を高める一歩となります。
4. 市場への影響と将来の展望
AAFCOによる今回の承認は、ヘンプシードミールを含む飼料市場を拡大させる可能性を持ちます。また、この成功は、今後の規制の調整や他の家畜用飼料への拡大につながる重要なステップとして評価されています。