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オーストラリア、ヘンプを「農業」から「国家産業」へ、上院が商業化への大転換を提言

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ヘンプ政策の焦点を「農業」から「産業育成」へ

オーストラリアのヘンプ産業は、いよいよ「可能性を語る段階」から「産業として育てる段階」へ入りつつあります。

今月公表された上院の調査報告書が焦点を当てたのは、栽培そのものよりも、その先にある加工能力や製造基盤、そして民間投資を呼び込める市場づくりでした。

ヘンプに可能性があることを証明するだけでは、産業は育ちません。原料を加工し、製品をつくり、それを購入する市場までつなげていく――。今回の報告書からは、オーストラリア国内の議論がそこまで進んできたことが読み取れます。

今回の報告書をまとめたのは、上院の農村・地域問題・運輸委員会です。調査は12か月にわたり、生産者、加工業者、メーカー、研究者など、オーストラリア各地の関係者から71件の書面による意見や証言が寄せられました。

そこで示されたのが、規制負担の軽減や全国で統一されたヘンプ制度の構築、州ごとに発行されるライセンスの相互承認などです。

さらに、産業用ヘンプの連邦レベルでの定義について、THC基準値を1%とする案も検討するよう求めています。

Australian Hemp CouncilのMatthew Lariba-Taing会長は、「次の課題は、これらの提言を投資や製造能力、そしてバリューチェーン全体に持続的な機会を生み出す、より強い市場へとつなげることです」と語りました。

同団体は今回の上院調査を受け、投資家向けの説明資料と分析も公表しています。

製造業へと移る焦点

今回の報告書で特に目を引くのが、ヘンプを単なる農産物として捉えていない点です。

上院委員会が大きな成長機会として見ているのは、その先にある加工・製造分野。加工インフラの拡充に加え、製品規格の整備や産業用途に向けた研究開発の強化も必要だとしています。

さらに注目されるのが、政府調達の活用です。

公共インフラや建築プロジェクトにヘンプ由来製品を採用し、政府自らが初期需要を生み出す仕組みをつくる。そのため、連邦政府の調達規則にヘンプ製品を組み込む案も示されました。

こうした提言の背景には、ヘンプ産業を一つの長いバリューチェーンとして捉える考え方があります。

品種・遺伝資源から始まり、農業、加工、建材、食品、そして輸出へ。栽培量だけを増やすのではなく、それぞれをつなぐ投資があってこそ、長期的な成長が可能になるという考えです。

なかでも、報告書で大きく取り上げられているのが建築分野です。

委員会は、National Construction Code(国家建築基準)にヘンプクリートをはじめとするヘンプ建材を組み込むことを提言しています。

その実現には、正式な耐火性能評価やベストプラクティスの標準化も欠かせません。Building Code of Australiaのもとで、それを支える規格を整備することも求められています。

商業化への展望

では、実際にヘンプ産業を大きくしていくうえで、何が足りないのでしょうか。

報告書が主要なボトルネックとして挙げているのが、加工インフラです。

そこでAgriFutures Australiaを通じ、栽培技術だけにとどまらず、加工から製造までを対象とする包括的な産業用ヘンプ研究開発プログラムを進めるよう提言しています。

もう一つ、新たな市場として期待されているのがカーボン分野です。

特にヘンプ建材について、どれだけ炭素を保持できるのかを正式に測定する仕組みを整えることで、低炭素建築市場や将来のカーボン会計制度の中にヘンプを位置づけられる可能性があります。

もちろん、今回示された提言の多くは、今後の政府による具体的な対応を待つ必要があります。

それでも、政策、研究、そして民間の商業的関心が、「ヘンプを産業として育てる」という一つの方向へ集まり始めたことは大きな変化です。

これから問われるのは、「ヘンプに可能性があるのか」ではありません。

その可能性を、加工設備や工場、製品、市場、そして商業規模の投資へと実際につなげられるかどうか。

オーストラリアのヘンプ産業は、まさにその次の段階へ進もうとしています。

編集部あとがき

今回の記事を以下、4つのポイントに整理しましたのでご参考ください。

1.ヘンプは「農作物」から「産業」へ

今回の上院調査で大きく変わったのは、ヘンプを栽培だけで捉えなくなったことです。農業から加工、製造、建築、食品、輸出までを一つにつなげ、産業全体として育てる方向へ議論が進んでいます。

2.最大の課題は“加工・製造インフラ”

栽培量を増やしても、加工する場所や製品をつくる工場がなければ市場にはつながりません。今後の成長を左右するのは、川下まで含めた産業基盤への投資です。

3.政府が“最初の市場”をつくる可能性

公共建築やインフラにヘンプ製品を導入する政府調達案は重要なポイントです。民間需要が十分に育つ前に公共部門が需要を生み出し、商業化を後押しする可能性があります。

4.「可能性の証明」は終わり、次は商業化へ

1%THC基準、全国統一制度、建築基準、研究開発、カーボン評価まで、議論は具体的な産業設計へ進んでいます。次に問われるのは、これらを実際の投資と市場へ変えられるかどうかです。

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HempTODAYJAPAN編集部です。HemoTODAYより翻訳記事中心に世界のヘンプ情報を公開していきます。加えて、国内のカンナビノイド業界の状況や海外の現地レポートも公開中。

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