クリスマスを目処に政権発足を目指しているドイツの次期連立政権が、嗜好用大麻の合法化に合意しました。
三党が合意
ショルツ次期ドイツ首相が率いる社会民主党(SPD)は、「緑の党」と自由民主党(FDP)との3党交渉で、2017年から続いてきた大麻合法化に関する議論に対し、合法化という答えを出しました。
方向性の異なる三党での連立ですが、この大麻合法化に関しては選挙戦から各党が掲げてきた経緯があり、スピード合意となったようです。
この合法化案では、基本的にハームリダクションを中心に据えている事が強調されており、大麻と並んで、タバコやアルコールのマーケティングを引き締める方向も同時に示されています。
これには、認可を得た店舗による販売制度を確立する事によって、密売人との接触による若年層の痲薬汚染の拡大や、有害な農薬の使用による汚染物質の流出、およびそうした大麻使用による健康被害、そしてブラックマーケットの拡大など、「大麻が違法であるが故に起きる問題」への対応が念頭にあります。
これは非常に論理的で評価できる政治姿勢で、日本も見習うべきだと思います。なぜなら上記の問題は日本も同様に抱えており、そしてその原因は、「大麻が違法だから」なのです。
やはりビジネスも大事
こうした姿勢は、税収増を見込んだ米国の各州とは趣が異なるようですが、ドイツでは医療大麻は2017年から合法であり、個人による少量の大麻所持も既に非犯罪化されている事もあり、単純に合法化されるという事よりも、むしろヨーロッパ最大の経済大国で大麻の商業取引が始まる事に関しての関心が高いようです。
Heinrich Heine University の Institute for Competition Economics (DICE) が行った調査では、この合法化によって、34億ユーロの税収をはじめ、法執行機関への13億ユーロもの支出削減などを勘案すると、ドイツ政府には合計で年間47億ユーロの経済効果と27000人の雇用が見込まれていると言います。
日本とは仕組みの違うドイツでは、選挙後に即政権交代とはならないので、今回の合意による大麻合法化がいつになるのかは、まだ分かりませんが、2025年には32億ユーロに成長すると言われているヨーロッパの大麻市場の成長に、この合意が更なる勢いを与える事は間違いないと言えるでしょう。