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忍者と大麻とヒマワリと

忍者と大麻とヒマワリと

映画やマンガ、ゲームなどのフィクションを通して、海外でも認知度の高い「忍者」。その起源には諸説ありますが、主に戦国時代から江戸時代にかけて、諜報活動などを行なっていた存在として知られます。

高い身体能力が要求される忍者ですが、よく知られた訓練に、大麻の種を撒き、毎朝飛び越えるというものがあります。ご存知のように、大麻は成長が早い植物です。その成長に合わせて、跳躍力を鍛えるというもので、多くの日本人が知る「言い伝え」です。

この時代、日本人にとって、大麻はとても身近な存在でした。庶民の衣類は、主に大麻の繊維からつくられていたのをはじめ、縄、魚網、建材などにも使われました。丈夫な素材であるため、弓や刀の刃を通しにくく、鎧をはじめとした武具にも用いられました。尚、日本の大麻はTHC成分の少ない繊維型であったこともあり、当時の日本に喫煙する習慣は一般的ではありませんでした。

しかし近年、子供向けのコンテンツなどを中心に、忍者が飛び越えていたのは「大麻」ではなく、「ヒマワリ」だったという記述をしばしば見かけます。2018年現在、日本では大麻=「違法な薬物」というイメージが定着し、重要な農作物だったという事実を多くの日本人が忘れているため、単に「大麻」だと忍者のイメージが悪くなるという理由だと考えられます。ヒマワリが日本に来たのは、江戸時代に入って以降とされているにも関わらず、このような安易な書き換え(配慮?自主規制?)が横行するのは、いかがなものでしょうか。

例えば、教科書に掲載されるような大きな項目に関する、政治的な意図を持った歴史の改ざんについては、世界的に「フェイクニュース」という単語が横行する昨今、日本人も敏感です。しかし、こういった民俗学的領域における歴史の書き換えについては、ほとんど話題にならないことも事実です。大麻博物館は、こういった現在の「臭いものに蓋をする」風潮(そもそも臭いものではない)に強い危機感を覚えています。

WEB:http://taimahak.jp/

参考書籍:  大麻という農作物 (リンク先:アマゾン)

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日本人の衣食住を支えてきた「農作物としての大麻」に関する私設の小さな博物館です。2001年、栃木那須に開館。水・木定休。著作に「大麻という農作物」「麻の葉模様」。日本民俗学会員。

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